民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

■民主党政権と憲法

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安倍政権での憲法改正を何とか阻止しようと、立憲民主党憲法審査会の開催に応じないなどの抵抗をしています。しかし、2009年のマニフェストでは次のように書かれています。

国民の自由闊達な憲法論議
憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統 ・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。民主党2005年秋にまとめた「憲法提言」をもとに、今後も国民の皆さんとの自由闊達な憲法論議を各地で行ない、国民の多くの皆さんが改正を求め、かつ、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます。

 http://archive.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf民主党アーカイブ

「国民の自由闊達な憲法論議を」と主張しているのです。しかし民主党政権時代に憲法論議がされた記憶は全くありませんし、野党になってからは憲法改正論議の邪魔ばかりしているようです。
次に、上記マニフェストにある「憲法提言」を見てみましょう。長いので目次と1章のみ引用します。興味のある方は、リンク先のPDFをご覧ください。

民主党憲法提言」 2005年10月31日 民主党憲法調査会
目次
1. 未来志向の憲法を構想する
2. 国民主権が活きる新たな統治機構の創出のために
3. 「人間の尊厳」の尊重と「共同の責務」の確立をめざして
4. 多様性に満ちた分権社会の実現に向けて
5. より確かな安全保障の枠組みを形成するために

1.未来志向の憲法を構想する
1.憲法論議の土台を明確にし、未来志向の新しい憲法を構想する
多くの国民は、日本国憲法が戦後の平和国家日本の確立と持続に極めて大きな役割を果たすとともに、人権意識や民主主義をこの国に深く根づかせる土台となってきたことを認識している。これを踏まえ、私たちは、日本国憲法の根本規範に基づいて築き上げてきたものに誇りを持ち、それを堅持しつつ、さらにそれらを強化・発展させるために求められるのは何かという出発点に立って議論を進めている。
昨今、憲法論議が徐々に盛り上がってきている状況を、私たちは歓迎している。その中でいま、求められていることは、21世紀の新しい時代を迎えて、未来志向の憲法構想を、勇気をもって打ち立てるということである。それは、現在の日本国憲法掲げる基本理念を踏まえて、それらをいかに深化・発展させるかということであり、新たな時代にふさわしい「新しい国のかたち」を国民と共有することに他ならない。
2.新しい憲法の構成
そもそも憲法とは、主権者である国民が、国家機構等に公権力を委ねるとともに、その限界を設け、これをみずからの監視下に置き、コントロールするための基本ルールのことである。同時に、これからの憲法を考えるに際しては、憲法のこうした固有の役割に加えて、憲法それ自体が国民統合の価値を体現するものであるとともに、国際社会と共存し、平和国家としてのメッセージを率先して発信するものでなくてはならない。未来志向の憲法は、国家権力の恣意的行使や一方的な暴力を抑制すること、あるいは国家権力からの自由を確保することにとどまらず、これに加えて、国民の意思を表明し、世界に対して国のあり方を示す一種の「宣言」としての意味合いを強く持つものである。そしてその構成は、日本国民の「精神」あるいは「意志」を謳った部分と、人間の自立を支え、社会の安全を確保する国(中央政府及び地方政府)の活動を律する「枠組み」あるいは「ルール」を謳った部分の二つから構成される。
3.新しい憲法がめざす五つの基本目標
私たちは、こうした二つの性質を合わせ持つ新しい憲法は、以下の五つの基本目標を達成するものでなければならないと考えている。これはまた、民主党が五年間の憲法論議を通じて獲得し、共有した価値でもある。
① 自立と共生を基礎とする国民が、みずから参画し責任を負う新たな国民主権社会を構築すること。
② 世界人権宣言及び国際人権規約をはじめとする普遍的な人権保障を確立し、併せて、環境権、知る権利、生命倫理などの「新しい権利」を確立すること。
③ 日本からの世界に対するメッセージとしての「環境国家」への道を示すとともに、国際社会と協働する「平和創造国家」日本を再構築すること。
④ 活気に満ち主体性を持った国の統治機構の確立と、民の自立力と共同の力に基礎を置いた「分権国家」を創出すること。
⑤ 日本の伝統と文化の尊重とその可能性を追求し、併せて個人、家族、コミュニティ、地方自治体、国家、国際社会の適切な関係の樹立、すなわち重層的な共同体的価値意識の形成を促進すること。
4.憲法の「空洞化」を阻止し、「法の支配」を取り戻す
私たちは曖昧さのつきまとう憲法解釈が、国際社会の要請や時代の変化に鋭く反応する気概をこの国の人々から喪失させているのではないかという懸念を抱いている。その上、日本ではいま、既成事実をさらに積み重ねて憲法の「形骸化」を目論む動きがある。とりわけ、今日われわれが目撃しているわが国の憲法の姿は、その時々の政権の恣意的解釈によって、憲法の運用が左右されているという現実である。同一の内閣においてすら、憲法解釈が平然と変更されて、いまや憲法の「空洞化」が叫ばれるほどになっている。いま最も必要なことは、この傾向に歯止めをかけて、憲法を鍛え直し、「法の支配」を取り戻すことである。
5.憲法を国民の手に取り戻すために
私たちは、当面する課題として、憲法改正手続法制・国民投票法制の整備にとりかからなくてはならない。しかも、国民に開かれた形で、これらの議論を進めていかなければならない。未来志向の憲法を打ち立てるに際しては、国民の強い意志がそこに反映されなくてはならない。しかし、日本ではこれまで、憲法制定や改正において、日本国民の意思がそのまま反映される国民投票を一度も経験したことがない。私たちは、憲法を国民の手に取り戻すために、国民による直接的な意思の表明と選択が何よりも大事であることを強く受け止めている。
6.大いなる憲法論議のための「提言」をもって行動する
ここにとりまとめた「憲法提言」は、その大いなる国民的議論に資するための1つの素材を提供するものである。憲法についてそれぞれの想いで意見を発露することは必要だが、それだけでは現実の憲法を変えることはできない。
多様な憲法論議を踏まえて何らかの改革を行おうとするならば、衆参各院において国会議員の3分2以上の合意を達成し、かつ国民多数の賛同を得るのでなければならない。党や国会議員は、みずからの意見表明にとどまることなく、国会としてのコンセンサス国民多数の賛同をどう取りつけていくのかに向けて真摯に努力していくことが求められいる。そもそも、憲法の姿を決定する権限を最終的に有しているのは、政党でも議会でもなく国民である。今後はさらに、憲法を制定する当事者である国民の議論を大いに喚起していくことが重要である。民主党はその先頭に立って、国民との憲法対話を精力的に推し進めていく決意である。

http://archive.dpj.or.jp/news/files/SG0065.pdf民主党アーカイブ 

長くて何を語りたいのかよくわからないのですが、全体的に人権に力が入り過ぎていて国家観が欠如しているように感じました。日本国憲法の出自に対する言及もありません。ただ、民主党内で真面目に憲法論議がされていたことの方が驚きかもしれません。しかし、この「憲法提言」の議論の中では、とんでもないことが画策されていたのでした。次のレポートをよく読んでみてください。 

民主党憲法提言中間報告」のポイント 2004/06/23
解釈改憲による憲法の「空洞化」を阻止し、「法の支配」と立憲政治を確立するために。
 ◆「法の支配」を貫徹できる、より明確な憲法
 ◆憲法裁判所の設置を
(1)グローバリゼーションと情報化に伴う新しい変化や価値に応えるために。

 ◆国家主権の移譲や主権の共有へ
 ◆アジアとの共生

(2)「脱官僚」政治を実現し、名実ともに国民主権を深化させるために。

 ◆内閣総理大臣の「執行権」を明確に
 ◆公会計原則の明記や行政監視院の設置  

(3)「脱集権」「地域主権」の確立により、分権国家・日本を創り出すために。

 ◆中央政府と地方政府の対等原則
 ◆課税自主権の明記と補完性の原理

(4)「新しい人権」の確立と21世紀的「人権保障」のために。

 ◆独立した第三者機関としての「人権委員会」の設置
 ◆プライバシー保護請求権、政府に対する情報開示請求権などの明記

(5)なし崩し的自衛隊の海外派遣という事態を許さず、国際協調主義で平和を確固たるものとするために。

 ◆国際協調の立場に立ち、国連の集団安全保障活動に積極的に参加
 ◆専守防衛に徹した、「限定された自衛権」を位置づける

https://web.archive.org/web/20080919215353/www.dpj.or.jp/news/?num=602民主党アーカイブ

 ◆国家主権の移譲や主権の共有へ ◆アジアとの共生

 これは、一体何なのでしょうか?誰に主権を委譲するのでしょうか?誰と主権を共有するのでしょうか?まさに売国ではありませんか。
これが、かつての民主党憲法論議なのです。鳩山総理の「日本は日本人だけのものじゃない」に通じるところがあります。→◇日本は日本人だけのものではない - 民主党政権3年3か月の研究

そして、これが民主党の本音なのでしょう。おぉ怖い怖い。

憲法提言」には、次のような記述があります。

(5)外国人の人権を保障する。
「人間の尊厳」の尊重はすべての人びとに保障されるとの観点に立ち、外国人の人権及び庇護権と難民の権利を憲法上明確にする。また、公的社会への参画の権利等について検討する。
(8)人権保障のための第三者機関を設置する。
人権侵害の状況に対する不断の監視と、人権の実現のためのサポートシステムとして独立性の高い国内人権保障機関の設置を憲法上明確にする。

外国人への地方参政権付与や人権侵害救済法への布石ですね。これらのことをみていくと、民主党政権の根元に日本を売り渡すという狙いがあったといっても過言ではないと思うのです。

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