民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

■PFI法の成立、水道法の原点

2018年末国会を賑わせた法案に水道法の改正問題があります。主に地方自治体が管理している水道事業の民営化を進める法律の改正で、立憲民主党・国民民主党など野党が強い反対を示し国会が荒れました。朝日新聞です。

水道民営化の導入促す改正法が成立 野党「審議不十分」
 水道事業を「民営化」しやすくする改正水道法が6日の衆院本会議で採決され、賛成多数で可決、成立した。水道の民営化をめぐっては、海外で水道料金の高騰や水質悪化などのトラブルが相次いでおり、野党側は「審議不十分」などと反発していた。
 改正案は7月に衆院で可決後に継続審議になった。今国会では参院厚労委で審議が始まり、厚労省が検証した海外の民営化の失敗例が3件のみだったことや、内閣府の民営化の推進部署に「水メジャー」と呼ばれる海外企業の関係者が働いていることが露呈。野党は問題視して追及を強めていたが、5日の参院本会議で可決後、与党側は審議なしで同日の衆院厚労委で、採決を強行した。
 改正案は、経営悪化が懸念される水道事業の基盤強化が主な目的。水道を運営する自治体などに適切な資産管理を求め、事業の効率化のため広域連携を進める。さらにコンセッション方式と呼ばれる民営化の手法を自治体が導入しやすくする。コンセッション方式は、自治体が公共施設や設備の所有権を持ったまま運営権を長期間、民間に売却できる制度。水道では導入例はない。自治体が給水の最終責任を負う事業認可を持ったまま導入できるようにし、促す狙いがある。

https://www.asahi.com/articles/ASLD63392LD6ULBJ002.html(朝日)

しかし、この民営化の道を開いたのは実は民主党政権です。

f:id:hate_88moshi:20190331015852p:plain


あの震災の日2011年3月11日の朝、蓮舫行政刷新担当大臣が記者会見でこのように述べています。

蓮舫内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年3月11日
平成23年3月11日(金) 8:39~8:45  於:参議院本会議場中庭側廊下ぶら下がり)

・・・(略)また、今日はPFI法改正法案が閣議決定をされました。
これは昨年6月の閣議決定の新成長戦略において、2020年までの11年間で、従来の事業規模の2倍以上の拡大を目指すと決められておりましたので、それを受けて作業をこれまで進めてまいりました。コンセッション方式として、公共施設等運営権、運営権制度の創設です。あと対象施設を拡大する。総理を会長とする民間資金等活用事業推進会議の設置を行うものとなっています。
 この改正によりまして、効率的で質の高い公共サービスを提供するとともに、新成長戦略の実現を推進、我が国の成長をしっかりと後押しするものになると確信をしております。

 https://www.cao.go.jp/minister/1101_renho/kaiken/2011/0311kaiken.html内閣府

ここに述べられているPFI法、コンセッション方式というのが、地域を活性化する目的で自治体が運営する事業の民営化を進める法改正の軸です。この中には水道事業も含まれています。

ところが、2018年12月の蓮舫氏のツイッターでは次のように述べています。

2018年12月2日
ようやく、水道法改正案の問題がメディアで取り上げられるようになったが、遺憾なことに、明日の参議院厚労委員会で採決される方針。
通常国会衆議院では7時間、臨時国会参議院では11時間だけの審議で通そうと言う法案は自治体経営の水道を民間企業に売却する道を開く。

https://twitter.com/renho_sha/status/1069474765998419970蓮舫ツイッター

この変節は、様々なところで語られていましたが、大手メディアは取り上げていないようです。その中から夕刊フジから高橋洋一氏の論説を紹介します。

元になったのは民主党政権下の法律なのに… 改正水道法に反対した“変節漢”にあきれる
高橋洋一 日本の解き方 2018.12.14

 臨時国会で成立した水道法の改正については、以前も本コラムで取り上げたが、いまだに「海外ではトラブルが相次いでいる」など危惧する声が出ている。
 事業体を経営形態で分類する場合、(1)直轄公営(2)公営委託(3)民営委託(4)民間会社-の4つがある。日本の上水道をみると、7000ほどの事業があり、そのほとんどは、(1)直轄公営である。ただし面白いことに(4)の民間会社も皆無ではなく、9件ある。
 一般的に「民営化」とは(4)のことを指す。(2)は特殊会社化、そして(3)が「官民連携」である。
 今回、成立した水道法改正は、(4)ではなく(3)の民営委託ができるようになった、といえば話が理解しやすいのだが、これも正確ではない。実は民営委託については、既に民主党政権下の2011年に成立した「改正PFI法」によってできるようになっていたのだ。
 今回の改正水道法は、この流れにあり、11年の改正PFI法に基づく民営委託についてのマイナー修正なのである。
 ただ、11年に成立した法律では、民間に委託する地方自治体が水道事業免許を返上せざるを得なくなるため、万が一のことが起きたときに行政が対応できなくなる恐れがあるとして問題視されていた。
 たとえるなら、自分で自動車の運転ができる社長が、お抱え運転手を雇ったら運転免許を返上しなければならない、というようなものだ。たとえ普段は運転しなくとも、万が一自分で運転せねばならぬ時のために、免許証はあったほうがいいだろう。
 今回の法改正はそういう意味合いのもの、つまり、11年法で認められた(3)民営委託をやりやすくするためのものだ。
 いずれにしても、日本では、7000の事業のうちほとんどは(1)直轄公営である。さて、欧州ではどうなのか。例えば、ドイツの事業数は6000程度あり、内訳は(2)公営委託3900(3)民営委託2100程度となっている。欧州の中でも、英国やチェコを除いて(4)民間会社はあまりないようだ。
 海外で再公営化の事例があるといっても、(3)が(2)になるもので、日本のように(1)直轄公営ではない。例えばドイツの再公営化は8例あるが、その比率はごく低く、騒ぎすぎだと言わざるをえない。また、反対派はパリの再国営化についても主張するが、これも(3)だったのが、(1)ではなく(2)に戻ったという例だ。

 今回の水道法改正は、11年改正PFI法よりほんの少しだけ、地方の首長が決断を下す際に役に立つものとなった。繰り返すが、そもそも民営化ではなく、官民委託の議論であり、官民委託が問題だというのならば、民主党政権下での11年改正PFI法の時に議論すべきだったのだ。

 当時、法案に賛成したのはもちろん民主党の議員である。今回の水道法改正に反対した立憲民主党、国民民主党、無所属議員の中には「元民主党議員」がたくさんいるが、そうした人たちの変節には本当にあきれてしまう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一

現在の立憲民主党や国民民主党の方々は、反対することしかできないようです。
何でも反対、自分たちが作った法律にも反対。

だめだ、こりゃ。

次へ→   目次へ→