■何とか公務員にスト権を・・・
民主党の支持母体の一つである公務員の組合自治労が民主党政権に望んでいたのが公務員に対する労働基本権の付与でした。「公務員にもスト権を」、ということです。
公務員にはスト権がない代わりに人事院が民間の給与水準をもとに人事院勧告を発し、それにより毎年の給与が決まる仕組みです。
その昔、公務員は公僕と呼ばれ、お給料が少ないかわりに年金などの福祉が充実している感じがありましたが、いつの間にかお給料も高いし福祉も充実、仕事もラク、年金は共済年金という別会計でしっかり確保、との勝ち組の様相を呈すようになりました。
そんな中、公務員組合の自治労は、政治活動に精を出すようになり、サヨク的性格を帯びるわけです。その自治労が喉から手が出るほど欲しかったのがスト権、労働基本権です。民主党政権になって、それが実現するかもしれないと、組合側は政権に対し期待とプレッシャーをかけたことでしょう。
一方、菅政権は、国家公務員人件費の2割削減を謳いました。自治労からすれば面白くない話です。結局、2010年度に関しての削減はうまくいかず、来年度に給与削減とスト権付与をセットで提案することにしました。飴と鞭です。組合にいい顔したい、でも国民も意識しないといけない、民主党政権のコンクリートからお友達へも、思うが儘にはいかず空回りしています。
そもそも公務員に組合があること自体がおかしいと常々思っているのですが、スト権など与えてしまったらこの国は麻痺してしまいます。それでも民主党政権は何かにつけてスト権の付与に腐心するのです。この件は、来年の野田政権に持ち越されますが、実現はしませんでした。ホッ・・・。朝日新聞です。
国家公務員の給与、人事院勧告超す削減断念 労組に配慮 2010年10月16日
菅政権は、臨時国会に提出する国家公務員の給与法改正案について、2010年度の人事院勧告(年間給与平均1.5%減)以上の引き下げを見送る方針を固めた。菅直人首相は9月の民主党代表選の公約に「国家公務員人件費の2割削減に向け、人事院勧告を超えた削減を目指す」と掲げた。だが、スト権などの労働基本権を与える前に大幅引き下げに踏み切れば、支持団体である公務員労組の反発は避けられず、党内の意見集約もままならないと判断した。
菅政権は公務員人件費の2割削減を実現するため、来年の通常国会で、労働基本権を付与する法案と公務員の給与をさらに引き下げる法案をセットで提出する検討に入った。11年度の実施をめざす。
民主党は09年衆院選と今年の参院選マニフェストで「国家公務員の総人件費2割削減」を打ち出していた。達成には約1.1兆円の削減が必要だが、人事院の勧告通りなら約790億円の削減にしかならない。公約自体は13年度までの目標だが、他の削減策である国の出先機関の廃止、公務員削減も思うように進まず、このままでは実現は難しい。民主党は公務員の人件費削減などで生み出した財源をマニフェスト政策の実現に充てることを掲げており、他の政策にも影響が及びそうだ。
・・・(略)
〈人事院勧告〉 労働基本権が制約されている公務員の給与については、人事院が中立の立場で民間給与と比較して給与水準を算出し、内閣と国会に勧告する。勧告に従うかどうかは内閣が判断するが、完全実施が通例。毎年夏に勧告され、秋の給与法改正を経て4月にさかのぼって適用される。対象は国家公務員だが、地方公務員の給与改定の指針になる。
http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201010150538.html(朝日)