民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

■新防衛大綱

2010年12月17日、菅政権は新防衛大綱を決定します。元々2009年(平成21年)に「21大綱」として策定されるはずでしたが、鳩山総理がそれまで検討していた自民党案を一蹴し、一年延期を表明していたのでした。ここにも、ちゃぶ台返しがありました。

朝日新聞からです。

中国念頭、南西諸島の防衛力強化へ 新大綱を閣議決定 2010年12月17

 菅内閣は17日の閣議で、2011年度以降の10年間の防衛力のあり方を示す防衛計画の大綱(防衛大綱)を決定した。中国の軍事的台頭について「地域・国際社会の懸念事項」と指摘。中国の海洋進出を念頭に南西諸島の防衛力強化を打ち出した。冷戦時代に部隊を全国に均等配備する根拠としていた「基盤的防衛力構想」に代え、機動力や即応性を重視する「動的防衛力」を基本方針とした。

 民主党政権初の防衛大綱で、大綱改定は2004年以来6年ぶり。内閣は11年度から5年間の防衛装備の数量を示す中期防衛力整備計画(中期防)もあわせて閣議決定し、5年間の予算総額を23兆4900億円程度とした。10年度予算と比較した平均伸び率はプラス0.1%で、平均伸び率がマイナスだった前回中期防(05~09年度)の抑制傾向を転換した。

・・・(略)

▶新防衛大綱のポイント

北朝鮮の軍事的動きは重大な不安定要因。中国の軍事力の近代化、戦力強化は地域や国際社会の懸念事項

・従来の「基盤的防衛力構想」によらず、「動的防衛力」を構築

・冷戦型の装備・編成を縮減。南西地域も含む警戒監視、洋上哨戒、防空、弾道ミサイル対処などを充実

・空白地域となっている離島に部隊を新たに配置

・サイバー空間の利用に対するリスクが新たな課題に

首相官邸に国家安全保障に関する関係閣僚の調整、首相への助言を担う組織を設置

在日米軍の駐留を円滑・効果的にする取り組みを推進

・武器の国際共同開発・生産など大きな変化に対応するための方策について検討

http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201012170219.html(朝日)

私は、これを評価できるだけの知見を持ち合わせていないので、ネットで評価を探しました。日経ビジネスでの菅原出氏の評論が的を得ていると感じましたので、一部だけ抜粋して紹介します。具体的な脅威を想定していない総論的な大綱では、国を守ることができないと主張しています。共感しました。日経ビジネス2011年1月7日からです。

新防衛大綱では我が国を守れない「脅威対抗型」へ発想の転換が必要

・・・(略)

 新防衛大綱は、「我が国防衛」を第一の目標に掲げている。「我が国の安全保障の第一の目標は、我が国に直接脅威が及ぶことを防止し、脅威が及んだ場合にはこれを排除するとともに被害を最小化すること」とうたっている。

 しかし、我が国に直接及ぶ脅威が何なのか、我が国を何から守ってくれるのか、具体的な記述はいっこうに出てこない。

・・・(略)

 時々こんなクライアントが居る。「予算はこれだけしかないから、適当にその範囲内でそこそこの安全策を考えて」。日本の防衛力整備も、この発想と大差ないように思える。我が国に対する具体的な脅威がどのようなものか。国際情勢が今後どのように変化していくのか。我が国の防衛力は、これらの本質とまったく無関係に整備される。これでは我が国を守ることはできない。

https://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110105/217819/?P=1日経ビジネス・リンク切れ)

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