とうとう2012年4月18日この北朝鮮のミサイル失敗を契機に田中防衛大臣の問責が野党から提出されます。同時に岐阜県下呂市長選で特定候補への支援要請文書を地元の業界団体に送った前田国交大臣にも問責が提出されました。

野田政権になって7か月間で4人目の問責です。問責理由には、「一川前防衛大臣に続いて、防衛大臣が素人であることは到底許されない。」とありますが、当然のことでしょう。しかし、ここにきて野田総理は、田中防衛大臣を「職責を果たしてきている」とかばうのです。信じられません。日経新聞です。
2閣僚問責、更迭ためらう首相 自民など提出 消費増税法案の審議遅れも 2012/4/19
自民党、みんなの党、新党改革の野党3党は18日、前田武志国土交通相と田中直紀防衛相の問責決議案を参院に提出した。20日に参院本会議で採決し、野党の賛成多数で可決される見通し。野田佳彦首相は野党の要求に屈する形での閣僚交代をためらうが、周囲からは消費増税関連法案などの審議の遅れを懸念する声が漏れている。
首相は18日、参院予算委員会で防衛相を「職責を果たしてきている」とかばい、国交相についても「これから緊張感を持って職責を果たしてほしい」と重ねて表明した。
岐阜県下呂市長選で特定候補への支援要請文書を地元の業界団体に送った国交相は16日、調査結果を衆院国土交通委員会理事会などに報告した。首相に近い議員の一人は「この段階で辞任に持っていくべきだった。時機を逸した」とこぼす。
問責提出前に交代させれば国会運営への影響を最小限にとどめ、問責可決を理由に辞任に追い込まれる事態も避けられる。問責可決で辞任する前例ができると閣僚辞任が相次ぐ「ドミノ現象」が起きかねず、首相への問責決議案が可決された場合、首相自身が窮地に立ちかねないためだ。
・・・(略)
https://www.nikkei.com/article/DGXDASFS1802G_Y2A410C1PE8000/(日経)
田中氏の問責決議分の冒頭部分だけを紹介します。
参議院本会議
右決議する。
理由
北朝鮮が「人工衛星」の打ち上げと称して、長距離弾道ミサイルの発射を強行したが、発射後の対応や情報伝達の混乱は、内閣に危機管理能力が欠如していることを露呈し、国民に大きな不安を与えており、自衛隊の隊務を統括する田中防衛大臣もその責任を免れない。
また、田中防衛大臣は委員会審議において、秘書官のサポートなしにはほとんどまともに答弁できないなど、安全保障政策に関して基礎的知識が全くないことは周知の事実となっている。
鳩山元総理の普天間飛行場代替施設に関する「最低でも県外」発言、菅内閣時の尖閣諸島沖中国漁船衝突事件への対応、最近では鳩山民主党外交担当最高顧問がイランを訪問し、国際原子力機関(IAEA)の対応を「二重基準」と批判したと伝えられるなど、民主党政権の安全保障・外交音痴ぶりは枚挙にいとまがないが、我が国を取り巻く安全保障環境が緊張を増す現在、一川前防衛大臣に続いて、防衛大臣が素人であることは到底許されない。
・・・(略)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/180/120420-2.html(参議院)
しかし、この問責後、次の内閣改造まで1か月半、田中氏は防衛大臣でありました。次のミサイルが飛んでこなくて本当によかったです。
ちなみに、前田国交大臣問責の決議文冒頭です。
「未だその地位に恋恋とする」国会決議文に出てくる言葉としては、少しグッときました。
前田国土交通大臣が、岐阜県下呂市長選挙において、告示前に特定の候補の応援を要請する文書に自ら署名し、この文書は国土交通省の公用封筒で、下呂市の建設業協会と温泉旅館協同組合の理事長あてに郵送されていたことが判明した。
前田大臣は四月十一日の衆議院国土交通委員会における答弁で文書への署名を認めた。
これは公職選挙法に抵触する行為であり、刑事罰にも問われかねない状況であり、国務大臣の地位にとどまることは許されない。当然自ら辞任すべきであるにもかかわらず、未だその地位に恋恋とする前田大臣を問責するものである。
・・・(略)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/180/120420-1.html(参議院)
失言だの、問責だのには慣れっこになってしまった野田総理なのでした。