2011年12月9日当時、内閣府特命担当大臣、拉致問題担当大臣、国家公安委員会委員長を担当していた山岡賢次氏の問責決議が行われました。参議院で野党が過半数を占めているため可決されます。衆参ねじれの効果は大きいです。
問責決議の原文とは、かなり具体的に悪事を指摘しているのだと感心したので、全文を紹介します。山岡氏のブラックさがよくわかるとともに、野田総理の任命責任にまで言及しています。もう一つ興味深いこととして第二の4で山岡氏がJRとの関係を指摘されて怒りの答弁をしている点です。JR労組と民主党の怪しい関係がここでも少し伺えます。参議院のWEBページからです。
国務大臣山岡賢次君問責決議 平成23年12月9日
参議院本会議
本院は、国務大臣山岡賢次君を問責する。
右決議する。理由
山岡賢次君は多くの国民が被害に遭っているマルチ商法に深く関わりがあるばかりでなく、数多くの疑惑が参議院、衆議院の本会議や各委員会の質疑で取り上げられているが、このことに対する十分な説明を果たしていない。
このまま山岡君が内閣府特命担当大臣、拉致問題担当大臣、国家公安委員会委員長として任に就く限り、国民の不安は解消されない。
以下、山岡国務大臣を問責する理由を列挙する。第一にマルチ商法に関わる疑惑である。
いわゆるマルチ商法に当たる行為は、不当な勧誘により財産上の被害を生じさせるおそれがあるものとしてかねてより問題視されてきた。
消費者庁の重要な所管事項のひとつが、マルチ商法によって被害を受けた国民の保護、救済である。
その消費者庁を統括する山岡賢次内閣府特命担当大臣は、「健全なネットワークビジネスを育てる議員連盟」の会長を務めていた過去がある。
この議員連盟の事務局長は、業務停止命令を受けていたマルチ業者からの講演料を受け取っていたことが判明し、民主党を離党して次期総選挙への出馬を断念している。
また、この議連の名前にある「ネットワークビジネス」とは特定商取引法にある連鎖販売取引のことと山岡大臣は委員会答弁で強弁しているが、実態はマルチ商法と同義語である。
現在、消費生活センターなどには、マルチ商法の被害に遭った国民から多くの苦情相談が寄せられている。
平成二十年六月マルチ商法業者が開いた大会において、山岡大臣は講演し、マルチ商法を宣伝して、グループへの勧誘演説を行った。
その場でこの商法が合法であるかのような発言によって、会員を鼓舞するなど、この業者の広告塔の役割を担ったのである。
さらに、この大会の主催者は、社長以下三人が脱税で在宅起訴され、さらに社長自身覚せい剤所持で逮捕されているような社会的に問題の多い会社である。
山岡大臣はこの会社に親族、元秘書等を通じて深く関わっており、多くの被害者を生みだしているマルチ商法の片棒を担いでいると断じざるを得ない。
加えて、山岡大臣は、国会答弁において、マルチ商法を正当化する発言を繰り返しており、反省の姿勢は全く見られない。消費者行政をつかさどり、消費者を悪徳商法から守る立場の大臣として、全くふさわしくない。第二に山岡大臣はマルチ問題に限らず、数多くの疑惑がもたれるほか、問題発言をしている。
1 秘書給与の肩代わり疑惑を報じた週刊新潮に賠償を求めたにもかかわらず、その後、請求を放棄したのは、記事内容を事実であると認めたに他ならない。
2 パチンコの換金の合法化という政府方針と違うことを目指しているパチンコ・チェーンストア協会の政治アドバイザーに就いていることを参議院消費者問題特別委員会で指摘され、辞任している。
3 民主党は拉致実行犯と関わりのある団体に献金をしているが、その際の民主党の出納責任者たる財務委員長は山岡大臣であり、このことに対する説明責任を全く果たそうとせず、拉致問題担当大臣としては極めて問題である。
4 平成二十三年十二月五日衆議院予算委員会における河井克行議員の質問に対し、「ふだん質問主意書など一回も出したことのない佐藤勉さんが、私がJRと付き合っていることを誹謗中傷しようという趣旨で出したのではないか」と答弁。佐藤議員への侮辱であり、国会における質問主意書の意義を全く無視した許せない発言である。
その他、マルチ商法業者や業界の政治団体からの献金、資産隠し、論文盗用、選挙運動者への金銭供与・約束、選挙運動員買収等々、委員会で指摘、質問された疑惑は多岐にわたる。
このような多くの疑惑を抱えて、消費者、拉致問題担当大臣及び国家公安委員会委員長としての重責を全うできるはずがない。
なお、野田総理は自らの内閣を「適材適所」と称しているが、このような多くの問題を抱えた大臣を選んだ野田総理の見識を疑わざるを得ないことを付言する。
以上が本決議案を提出する理由である。(愛知治郎君外七名発議
本会議決議
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/index.html(参議院)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/179/111209-1.html(参議院)
議案情報
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/179/gian.htm(参議院)http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/179/meisai/m17951179004.htm(参議院)
山岡氏はこの問責決議の結果を受けて、2012年1月の第1次野田改造内閣で、閣僚からも党の役員からも外されることになります。その後、2012年7月小沢氏とともに離反、「国民の生活が第一」党で衆院選に落選後、2013年の参院選に出馬して落選しています。地元に帰って元大臣の名前を利用して、マルチ商法など悪さしていないか心配です。
この時同時に、一川防衛大臣の問責決議も行われました。一川氏については就任当初「私は防衛の素人」発言がありました。→◇一川保夫氏「私は安全保障の素人だが、それが本当のシビリアンコントロール」 - 民主党政権3年3か月の研究
さらに、部下である田中前沖縄防衛局長の「これから犯す前に犯しますよと言いますか」失言での監督責任が問われています。加えて自身がまた失言を犯します。夕刊フジからです。
防衛相モ~辞任して!“少女暴行事件”を“乱交事件”と発言
一川保夫防衛相の新たな失言が飛び出した。2日午前の記者会見で、沖縄県民の怒りに火を付けた1995年の少女暴行事件について、「少女乱交事件」と発言したのだ。
一川氏は午後に沖縄入りし、仲井真弘多知事に陳謝する予定。県民の怒りはさらに 高まりそうだ。
一川氏は1日の国会で「(少女暴行事件を)詳細には知らない」と答弁し、改めて大臣の 適正を問題視された。このため、2日の会見で「国会の場で詳細に説明する事案とは 異なると思った」などと釈明していたが、こうした中で「少女乱交事件」は飛び出した。
記者らはあきれ果てていたが、一川氏は気付かずに知らん顔。会見後、防衛省広報が 「訂正したい」と申し入れた。
自民党の石原伸晃、公明党の井上義久両幹事長らは2日午前の会合で、一川氏への 問責決議案を提出する方針を確認。他の野党各党も同調する見通しで、決議案は可決される公算が大きい。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20111202/plt1112021547005-n1.htm(zakzak・りンク切れ)
防衛大臣一川保夫君問責決議
・・・(略)
このような状況下、「素人」である一川防衛大臣の軽率な言動や行動が、日本の安全保障を脅かし、国益を損ねているのは明らかである。
以下、一川防衛大臣を問責する理由を、列挙する。第一に、田中前沖縄防衛局長に対する監督責任である。
十一月二十八日、田中前沖縄防衛局長は、報道陣との懇談の席で、普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書を提出する時期をめぐり、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言した。これは女性の尊厳を踏みにじる表現であるだけでなく、一九九五年の沖縄米兵少女暴行事件のほか、米兵の性犯罪に苦しんできた沖縄県民の心情を傷つけ、愚弄する以外の何ものでもない。・・・(略)
第二に、「私は安全保障の素人」との発言である。(前述)第三に、ブータン国王夫妻歓迎宮中晩餐会の欠席である。(前述)
第四に、十二月一日の参議院東日本大震災復興特別委員会での、自由民主党の佐藤正久委員に対する答弁である。
一川防衛大臣は、佐藤正久委員の質問に対し、九十五年の米軍少女暴行事件の「正確な中身を詳細には知っていない」と答弁した。普天間飛行場移設に至る経緯や、先日の日米地位協定の運用見直し合意の背景を全く理解していなかったことになる。
また、一川防衛大臣は、十二月二日の記者会見で、九十五年の少女暴行事件を「乱交事件」と発言した。もはや、言い間違いで済む問題ではない。田中前局長を更迭した直後の大臣の発言としては、緊張感の無さや防衛省の姿勢が問われるものである。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/179/111209.html(参議院)
一川防衛大臣もこの後の第1次野田改造内閣で防衛大臣の職を失います。しかし、その後に任命された大臣のあの人も、それはそれは見るに堪えない体たらくを晒してしまいます。