その後も菅政権は、頑なにビデオの公開を拒みます。
ビデオを見てしまったから言えることですが、ビデオが早い時点で公開されていれば、船長の釈放はなかったはずですし、もしかしたら株式会社フジタの4名の拘束も防げたかもしれません。民主党政権は、それでも対中関係に配慮してなのか?公開を拒み続けます。
産経新聞です。
漁船衝突ビデオ 公開先延ばし・責任押し付け…政府、国民無視の対中配慮 2010年10月9日
沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の際に海上保安庁が撮影したビデオ映像の扱いについて、政府・与党は公開の先延ばしと責任の押し付け合いを続けている。
9月30日夜、首相公邸で開かれた首相、仙谷由人官房長官と参院民主党幹部らとの会合では、こんな会話が交わされた。
川上義博・参院予算委員会理事「ビデオを公開したら大変なことになる。日中関係改善は2、3年遅れる。温存した方がいい」
仙谷氏「おっしゃる通りだ。ぜひ国会でも国対でもそう言ってください」
首相「よく分かりました」
政府・与党内には、明らかに中国側に非があることを示すビデオを公開すれば、国民の「反中感情」をあおることになるという危機感も強いようだ。
衝突事件にかかわる省庁の政務三役の一人はビデオを見て「あれは公開してはいけない。あれを見たら『中国人ふざけるな』と国民感情が燃え上がってしまう」と感想を漏らした。
やはりビデオを見た民主党幹部も公開を躊躇(ちゅうちょ)してみせた。「ビデオを出したら国民は激高するだろうな」
8日の代表質問で首相は、菅内閣が掲げる「主体的外交」に関して、こんな熱弁をふるった。
「最終的に外交の方向性を決めるのは主権者たる国民だ。一部の専門家だけでなく、国民一人ひとりが自分の問題ととらえ、国民全体で考えることにより、より強い外交を推進できる」
菅政権では、ビデオを国民の目から隠そうとする「対中配慮」は目立つ。だが、首相が語ったこの理念を実現するために、国民に必要な情報を提供しようという発言は、聞こえてこないのが現実だ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101008/plc1010082356037-n2.htm(産経・リンク切れ)
一方で中国では、「日本の船が中国船に体当たりしてきた」との報道がされています。完全に舐められています。あのまま公開がされなかったら、中国の言い分が通り、以降土下座外交を強いられたに違いありません。それはそれで仙谷官房長官の真の狙いだったのかもしれません。産経新聞です。
尖閣で中国ネット氾濫 「海保が衝突」既成事実化も 10月11日
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、海上保安庁が撮影したビデオ映像の公開を日本政府が先延ばし続けるなか、中国国営通信社や共産党系のインターネットサイトで、海保の巡視船側が中国漁船に衝突したとする図などが掲載されている実態が10日、明らかになった。日中首脳会談が4日に行われたにもかかわらず、中国当局も放任を続けており、中国政府の一方的な主張が“既成事実化”する恐れも強まっている。
中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙「環球時報」は、衝突事件の“実態”について、日本の巡視船の方から中国漁船に衝突したとする説明図を掲載してきた。中国政府の「日本の巡視船は中国の領海で中国漁船を囲み、追いかけ、行く手を遮り、衝突して損傷させた」(姜瑜・中国外務省報道官)との主張に沿ったものだ。
「(中国漁船が)巡視船に体当たりした悪質な事案で逮捕は当然」(前原誠司外相)とする日本側の説明とはまったく異なる。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101011/plc1010110126000-n1.htm(産経・リンク切れ)
一方日本国内のインターネットでもさまざまな噂が飛び交います。
「日本の巡視艇の乗員が(海へ)落ちたのを中国の漁船員が銛で突いていた・・・」、
「中国船は、加速しながら勢いをつけて巡視艇に体当たりした・・・」、
「海保が臨検の為にチャイナ漁船に乗り移ると、あろうことか、屈強な船員が海保保安官をロープでぐるぐる巻きにして、海に投げ込んだ。それに対して、船長・船員を逮捕・拘束した」・・・
「あまりに残酷だから、逆にビデオを公開することができない。」
「海上保安庁の乗組員に死者がでた」・・・・。
真偽はともかく、情報を隠ぺいするとこういう事態に陥るのです。赤松口蹄疫の時、初期にマスコミから情報が提供されなかったために、様々な情報が錯綜して混乱を広げてしまいました。その教訓が全く生かされていないわけです。というか、自分のこと。。中国のことしか考えていないのですね。国民の間でどんな情報が出回ろうと関係ない。ビデオだけは死守する。それが民主党の神髄なのでしょう。
その中で、10月13日衆議院予算委員会において国政調査権に基づき那覇地検にビデオの提出を求めることを全会一致で議決、27日政府がビデオを国会に提出します。
11月1日、国会内で約30人の議員に限定で6分50秒に編集されたビデオが公開されます。その視聴後の各議員のコメントです。産経新聞がまとめています。
【尖閣ビデオ】視聴議員コメント集 2010/11/01
・・・(略)
「大変鮮明に衝突の状況が映っていた。政府側のチラチラした説明が、私どもにも十分に分かる映像だった」
「明らかに悪質な事案であることは間違いない。なぜ中国人船長を現行犯逮捕しなかったか。釈放はおかしい。国民に見てもらうべきだ」
「向こう(中国漁船)の意図的な衝突と見て間違いない。衝突の映像だけしかなく、これだけでは足りない」
「明らかにぶつかってきている。(中国船の船員は)淡々としていた。(ビデオの公開は)慎重にした方がいい」
「車が道路でちょっとコツンとぶつかるような、あてて逃げるという映像だ。(挑発行為は)離れてるし、分からなかった。反日デモがエスカレートしている状況だ。国民に公開することは慎重であるべきだ」
「2度目も故意であることがうかがえた。すごい大声で停船命令をしていたにもかかわらず(船員たちは)平然としていた。もっと早く公開していれば国際世論も日本に好意的になっただろう」
「(船長が挑発しているような…)のがあったね。はっきり見えないけど。(指を立てて?)そうそう。指を立ててたよな」
「(中国漁船が)向かってきたと、少なくとも海保は説明していた。事件に関する経過と対処については政府の判断と責任においてきちっと決めることが大事だ」
「向こうが逃げまどって、当たっちゃったということだ。衝撃があるような当たり方じゃない。ぶつかる瞬間はカメラの位置からして見えない」
「思ったよりは激しくないが、意図的にぶつけてきているのは読み取れる。当然、公務執行妨害だ。もっと早く公開すれば国際的にもっと違った世論の展開になった」
「公開はタイミングを逸している。外交カードとして持っておくのが日本にとってベストだろう」
「国民にできるだけ公開した方がいい。故意にぶつけていると判断できる状況だった」
「ぶつかってきたという印象は強い。まだ処分保留中であり、政府として判断と善後策がきちんと提示されるべきだ」
「故意に衝突させたのは間違いないだろう。委員長としての立場上、個人の感想を述べるのは差し控えたい」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101101/plc1011012157036-n1.htm(産経・リンク切れ)

この画像はネットで拾いました。
福島瑞穂氏の「車が道路でちょっとコツンとぶつかるような、あてて逃げるという映像だ」には笑いがこぼれてしまいますが、民主党議員以外は、故意にぶつけている。公開すべきだとの立場にあることがわかります。
11月1日の時点の世論調査で78.4%の国民がビデオの全面公開を求めている(産経新聞)とありますが、それでも菅政権はビデオの国民への公開には踏み切りません。
ビデオの公開を求める抗議デモも行われています。

野党の時には「国民の知る権利」を高々と振りかざす民主党系の議員ですが、与党となると国民の意志など無視して中国に媚びまくっているのです。