2010年6月、菅内閣の発足とともに厚生労働大臣は、長妻氏から細川氏に交代となりました。2010年8月に2010年版の厚生労働白書が発行されるのですが、これがちっちゃな問題を引き起こします。日経新聞と産経新聞の記事をまずご覧ください。
厚労白書に「長妻色」、冒頭に薬害肝炎で謝罪・反省 2010/8/27
長妻昭厚生労働相は27日の閣議に2010年版の厚生労働白書を報告した。今年の表題は「厚生労働省改革元年」。旧社会保険庁の不祥事や薬害肝炎問題についての謝罪と反省を冒頭に明記する異例の内容で、厚労省改革への取り組みを前面に出した内容となった。
「率直におわびを申し上げます」――。白書は「はじめに」で年金記録問題と薬害肝炎を例示し、国民の信頼を失ってしまった事態を謝罪。続く第1章「厚生労働省の反省点」で使命感や責任感の欠如を認め、不信感の一掃に向けて「地道な努力を重ねていく決意」を表明した。
巻末に「厚生労働カルタ」を掲載したのも特徴だ。「安心し 働くために 労災保険」「無償です 医療の明細書 確認下さい」など。自らのホームページ上で政治姿勢をカルタで示している長妻厚労相の指示によるもの。厚労省の仕事を国民に広く知ってもらうのが狙いといい、切り取ってカルタ遊びができる。
社会保障政策の方向性では、労働市場、地域社会、家庭への参加を促すことを政策目的とする「参加型社会保障」の確立をうたった。従来の社会保障を「消費型・保護型」と位置付け、「消費されるだけで、何も生み出さない」と指摘。今後は本人の能力を最大限に引き出すことで、経済成長と両立させることを目指すという。
厚労相は当初、少子高齢化の進展に対応するための社会のあり方を「少子高齢社会の日本モデル」として掲載する方針だったが、政府内での調整がつかず、在宅医療や保育の先進例など参考事例だけを掲載した。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2602S_W0A820C1NN0000/(日経)
巻末にカルタ お詫びも… 異例ずくめの「長妻」厚生労働白書 2010.8.27 23:26
長妻昭厚生労働相は27日の閣議に平成22年度版厚生労働白書を報告した。巻末の付録には厚労行政に関心を持ってもらうための「厚生労働カルタ」を添付したほか、自民党政権下の厚労行政について「お詫(わ)び」する異例の内容。長妻氏の意向が強く反映された形となっており、省内からは「まるで長妻白書だ」(幹部)との声も漏れている。・・・(略)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100827/plc1008272328021-n1.htm(産経・リンク切れ)
まず、冒頭から前政権のお詫びでスタートするという長妻氏の思いが込められた白書のようです。とともに「長妻白書」と言われるように自画自賛の塊となっています。これについて自民党の田村憲久氏(衆・当時比例東海、現三重1区)が「卒業アルバム」と追及しています。
2011年02月03日 衆議院・予算委員会
○田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村憲久でございます。
十一月以来ですか、こうやって予算委員会に立たせていただくのは。きょうは一時間お時間をいただいておりますので、中身のある議論をさせていただきたいというふうに思います。
冒頭、厚生労働白書、これは平成二十二年版を持ってまいりまして、非常に厚くなったんですよ、二十一年版よりも。これが二十一年版ですから。中身が非常に詰まっていて、長妻大臣、頑張ったのかななんということを思いながらこれをずっと見ておったりなんかしたんですが、そうしたら、ある私の同僚議員、大学で教鞭をとっておるというか学生たちに教えている同僚議員がおるんですが、彼がこれを教材で使ったんですね。そうしたら、何かことしの厚生労働白書、長妻大臣の卒業アルバムみたいだと言うんですよ。何でかと見ると、おととしの二十一年版は写真を全然使っていない。写真は全然ないんですね。一カ所だけ、当時の大村副大臣の写真があるんです。
ところが、二十二年版は長妻大臣の写真だけで十三ページあるんですよ。これがまたすごくて、あけていくと、イクメンプロジェクト発足で写っている長妻大臣だとか、あと、提案書を受け取る長妻大臣だとか、介護をやっている長妻大臣というのもあるんですね。何だ、これはと。これは、学生さんが卒業アルバムですかと言われるのもわかるような気がする。
ところが、さらに見ると、びっくりしちゃいました。「厚生労働カルタ」と書いてあるんですよ。かるたがこうやってあるんですね。これは何かと見ると、「イクメン カジメン 惚れ直し」とか、何とか何とか僕イケメンというのがありましたけれども、何かよくわからないかるたがあって、これ、普通そんなに使えないでしょう、薄いから。そうしたら、横にちゃんと、A4サイズの厚紙十二枚、のり、カッター、はさみと。つくってくれというんですね。だれが読むのかなと。
確かにお金の事業仕分けも必要ですよ。だけれども、これは編集するだけで人件費が当然かかっているわけですし、紙も使えば、いろいろな、のりから何から本当に使うわけです、製本のために。本当、壮大なとは言いませんが、ちっちゃなですけれども、これは無駄やっているんじゃないのかなと。
どうですか、蓮舫大臣、今私の話を聞いて。写真がばあっと載って急にふえて、何々する長妻大臣だとか、それから、多分ほとんどだれも利用しないようなかるた、こんなものがばあっと入っているんですけれども、こういう厚生労働白書、これは無駄で事業仕分けしようと思われますか。
○蓮舫国務大臣 お答え申し上げます。
一義的には厚生労働省内でしっかりと見直しをしていただくことが必要だと思いますが、基本的に、事業仕分けで白書を仕分けるという考え方は私は持っていません。
ただ、今、田村委員がおっしゃったように、写真が多くて見にくいであるとか、あるいは、その写真のところにもっとデータを入れた方がいいとか、読みやすい努力をした方がいいという御指摘であれば、それは厚生労働省内で検討いただきたいとは思っております。
また、かるたがどうかというのは、これは使う人にとって、主観によるものでございますので、委員がおっしゃった無駄と受けとめる方もおられますし、逆に使いたいという方ももしかしたらいるかもしれませんので、そこは私が仕分けの対象にするものではないと思っております。
○中井委員長 細川さん、短く、お金はどれぐらい変わっているか、前年と比べてどうかぐらいちょっと。
○細川国務大臣 まず、写真などを入れまして白書をつくったということは、これはわかりやすく親しみやすい白書にしたい、こういうことだというふうに思います。
それから、費用については、これは余り変わっておりません。具体的に申し上げますと、平成二十二年版は七十八万七千五百円、平成二十一年が八十二万七千四百円で、大体同じぐらい、変わっておりません。
○田村(憲)委員 私は、お金どうのこうの言っているんじゃないんです。本当に必要なものがこれに載っているかというところ。お金だけの問題じゃないんですよ。当然、つくるには、編集だとかいろいろな部分で人件費もかかるし、厚生労働省の人間も関与していますから、これは時間がかからなければその分ほかの仕事ができるわけですからね。そういうことも含めて、本当に必要なのかどうか。
それで、かるた。蓮舫大臣が、かるたを見たい人もいるし、使いたい人もいるし、使いたくない人もいるみたいな話でありましたが、税金でこれをやっているので、そういう意味では、かるたが本当に必要かどうか検証をしてください。どれぐらいかるたを使われたか、これを購入された方々でどれだけかるたを、これはいつも長妻大臣が、何か事業をやるときには検証して、本当にそれだけの意味があるのかどうかというものをちゃんと後から見直す必要があるという話でありますから、その点はやっていただけますか、大臣。
○枝野国務大臣 白書のあり方については、一方で、従来、なかなか取っつきにくいという御指摘もあった中で、今、できるだけ多くの人に親しみを持って読んでいただく方向で努力をいたしておりますが、その模索の中で、御指摘のような声もしっかりと踏まえて、これは各省とも共通していると思いますが、親しみやすく、読みやすく、必要なものがしっかり入っているというような白書になるべく各省とも努力をしていただくように、官房の方でしっかりと整理してまいりたいと思います。
近くの図書館で確認してみます。たしかに2011年版と比べると3倍厚さが違います。長妻氏の写真も随所に大きく扱われています。長妻氏が官僚を怒鳴りつけて、この写真を入れろなどあれこれ指示している場面が思い浮かぶようです。また、長妻氏ご自身のホームページでもご自身の大臣活動に対し、自画自賛の嵐です。自己愛が強いことが伺えますね。興味のある方はご覧ください。
→厚生労働大臣としての闘い | 長妻昭(ながつま昭)オフィシャルWEBサイト
さて話題に上っているカルタですが、このようなものです。
こちらに全データがありますので、お暇な方は厚紙に貼ってつくってみてください。
・厚生労働カルタ→https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/10-3/dl/karuta.pdf
・カルタの解説→https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/10-3/dl/kaisetsu.pdf