地震発生直後の3月13日、枝野幸男官房長官は、首都圏を中心に電力供給量が大きく不足することの広報を目的に節電啓発担当相のポストの新設を発表し、蓮舫大臣が兼務することとなりました。
しかしそのデビューはさすがの蓮舫氏もビビッていたようです。週刊ポスト2011年4月1日号からです。
節電大臣蓮舫氏 計画停電に「初めての事なので」とパニック 2011年3月20日
にわか節電大臣の蓮舫氏は、東電の計画停電で大混乱を招くと、「初めてのことなので」と、阪神・淡路大震災の時の村山首相と同じセリフを吐いた。自分自身がパニックに陥り、“啓発力”を発揮することは一度もなかった。
https://www.news-postseven.com/archives/20110320_15548.html(週刊ポスト)
「初めてのことなので・・・」どこかで聞いたことがあると思えば、鳩山総理の就任会見でした。大臣たるもの、政治家たるもの、どんな時にでも即戦力にならなければいけないということがよくわかります。「初めてでよくわかんない」で国民が死に瀕することがあり得るということです。選挙で議員を選ぶことの重要さを逆に教えてもらいました。
され蓮舫氏は大臣就任してすぐに「蓮舫節電啓発等担当大臣からの節電のお願い」というメッセージを発信します。中身がほとんどないので、ほんの一部抜粋します。
蓮舫節電啓発等担当大臣からの節電のお願い 平成23年3月16日
・・・(略)
3.国民の皆さん一人ひとりへのお願いです。
この困難に当たっては私たち一人ひとりが、「今、自分に何ができるか」を考えなければなりません。小さなことかもしれませんが、おひとりおひとりができることとして、「節電」に力を合わせていただけないか、これが私の皆さんへのお願いです。ひとつひとつは小さくても、その積み重ねによって、この問題を解決する大きな力になると考えています。
https://www.cas.go.jp/jp/siryou/pdf/20110316setsuden.pdf(内閣官房)
一方で東京電力は、計画停電として輪番停電を実施しました。地域ごとに数時間ずつ順番に停電する方式です。3月14日午後5時から、茨城県、静岡県、山梨県、千葉県の各一部地域で初めて行われました。3月15日以降も輪番停電は実施されましたが、3月28日以降は実施されませんでした。4月8日東京電力は停止中の火力発電の稼働などで供給が可能として原則6月3日までの輪番停電を実施しないと発表します。
この輪番停電は、いろいろな問題を引き起こします。
・地域の不公平問題
官公庁や銀行、証券、テレビ局などが集中する東京23区がほとんど含まれていないために、不公平だとの声が上がります。東京23区で唯一、広域に実施されている足立区と、一部地域が対象になっている荒川区が怒りの声を上げました。
・民主党議員の自宅除外問題
菅直人氏の自宅のある三鷹市でも菅氏の自宅の町は範囲外、蓮舫氏の自宅も範囲外で特別の計らいがあるのではと疑惑が出ていたところに、この事件です。武蔵野市の松本清治市議(41・民主党)が「東京電力武蔵野支社から3月16日21時30分に、武蔵野市内地域、病院等と〈第1グループ〉は当面(3/17 9時20分実施分より)、計画停電の対象地域から除外するとの連絡がありました」「松本清治の要請が実現しました」としたビラを配ったのです。松本市議は菅総理の元秘書です。民主党議員に頼めば計画停電範囲外にできるのか?と話題になったのです。
・プロ野球開幕問題
3月25日セパ同時開幕の予定が、セリーグは予定通り開催、パリーグは延期を主張し、一反は3月29日開催が決まりますが、最終的には4月12日セパ同時開催で決定します。
連日、計画停電と節電へのご協力をいただきありがとうございます。こうした中、セリーグが予定通り開幕を決定しましたが、厳しい電力需要に鑑み開催時間、地域への配慮をしていただくように日本野球機構へ要請をしました。週明けに機構の方とお会いし検討結果を伺うことにしています。2011年3月18日
https://twitter.com/renho_sha?lang=ja(蓮舫氏Twitter)
調整役に蓮舫氏が一役買っていたのか、邪魔しに行ったのかはよくわかりません。お仕事しているというメッセージです
そんな中、読売新聞が3月24日の新聞に次のような表をのせます。
東京電力管内の主な産業や施設などの電力消費量
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[主な産業、製造業、生活][1日あたりの電力消費量][一般家庭換算の世帯数]
自動車・電機など 4617万キロワット 476万世帯
化学 2470万キロワット 225万世帯
鉄鋼 1753万キロワット 181万世帯
鉄道 726万キロワット 178万世帯
食品 1530万キロワット 158万世帯
パチンコ 415万キロワット 43万世帯
飲料自販機 400万キロワット 41万世帯
東京ディズニーリゾート 57万キロワット 5.90万世帯
東京ドーム プロ野球1試合 4万キロワット 0.41万世帯
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「東京ドームでプロ野球1試合節約しても、宣伝効果は大きくないよ。もっと他に削るとこあるのではないですか?」との読売からのメッセージのようです。
・パチンコ問題
しかしこの表において、民主党政権も、マスコミも指摘しない興味深い数字があります。パチンコです。東京ドーム1試合の100倍以上の電力を消費しているのです。生活に直結するわけでもないパチンコですから、節電要請をしてもおかしくないはずですが、アンタッチャブルなんですね。特に民主党にはパチンコ業界と近しい関係にある議員が多く存在しますし、マスコミにとってパチンコ業界は欠かせないスポンサーです。ネットでは、かなり盛り上がった話題です。
・テレビ問題
この時点では、電力消費量があがる夏にも計画停電の可能性が残っていました。エアコンは止めると命に関わります。もう一つ、ほとんどの家庭にあって、一日の内、長い時間電源がオンな電化製品があるじゃないですか。テレビです。エアコンがピークになる13時から15時放送を全部ストップする。お昼のニュースが終わったら、バラエティーか再放送ドラマしかやっていないので問題ないでしょう。放送がストップすれば全家庭のテレビも消しますよね。全家庭のテレビがストップすれば、エアコンのピーク時の電力をカバーできそうでしょ?とブログで提案していました。マスコミは絶対触れないでしょうね。
当時私がブログで発したキャッチフレーズです。
「この夏は、テレビを消して、節電だ」
追記・2022年6月27日)こんな記事をツイッターで見つけました。
追記・2021年6月7日)この時には停電に対しての補償という議論は全くでてきませんでした。あまりに被害の度合いがひどかったことと、時間が短かったことから停電を受ける側もそこまで頭が回りませんでした。
新型コロナウィルスによる休業要請や補償に対して、あれやこれや政府に文句をつける立憲民主党の皆様は、この時のあたふたを一度振り返られるとよいと思います。