民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

◇3キロ→10キロ→20キロ・科学的根拠のない避難指示

菅総理福島第一原発に視察に行く際にはSPEEDIが機能していて、その情報により総理の被ばくを回避するためにベントを送らせて水蒸気爆発を招いたことは前述しました。しかし住民の避難に関しては、SPEEDIデータを用いることなく何の科学的な根拠もないままに、単純に10キロ以内とかの数値が使われているのです。住民に混乱が起こるのは当然のことです。山火事ならともかく、放射能は目に見えないし、皮膚にも何の感触もないからです。日経新聞です。

菅首相福島原発の避難指示 3キロから10キロに拡大 2011/3/12

菅直人首相は12日早朝、福島第一原発1号機の「10キロ以内の(住民の)避難を指示した」と明らかにした。

そのうえで「現地で東京電力の責任者と話し、状況を把握したい。必要な指示は現地で行うかもしれない」と述べた。

福島第一原発は、原子炉の圧力を下げるため圧力弁放出を行う予定になっている。

東北大地震の被災地視察を前に首相官邸で記者団に語った。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFL1200I_S1A310C1000000/(日経)

震災翌日の夕方には20キロ圏に拡大されました。

3キロ→10キロ→20キロ・・・国民は、その根拠を示して欲しかっただけです。だってSPEEDIの情報は手元にあったはずだから・・・。

結果論で言うと、避難しなくても良い人が避難を余儀なくされ、避難しなければいけない人が留まっていたということです。日経新聞です。

福島原発の避難指示、第1は20キロ圏に拡大 2011/3/12

福島県は12日午後6時25分、首相官邸からの指示で福島第1原子力発電所避難指示を半径20キロメートル圏内に拡大した。同時に第1原発放射線量が午後3時40分を最後に計測できていない、と発表した。

枝野幸男官房長官は12日午後6時前の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所の爆発について「原子炉そのものとは確認されていないが、何らかの爆発的事象があった」と述べた。そのうえで「政府と東京電力が総力を挙げて万全の対応に努めている。周辺住民は落ち着いて対応してほしい」と強調。被害を最小限に抑えるため菅直人首相と海江田万里経済産業相が専門家を交えて状況の把握と対応に全力を挙げていると説明した。

枝野長官は記者会見で、午後6時前の時点で「放射性物質の測定はきちんと行われており、現在は想定される数字の範囲内だ」と指摘した。ただ、放射能の人体への悪影響を抑えるためのヨード剤に関しては「いつでも配布できる体制になっている」と語った。

枝野長官は、福島第1原発の南に約10キロメートル離れた福島第2原発に関しても、周辺住民の避難指示を半径3キロ圏内から10キロ圏内に拡大したと発表。「想定される最悪のケースに備えて10キロをお願いしている」と説明した。東日本巨大地震の影響で発電量が落ちているとして「すべての国民に節電をお願いする」とも呼びかけた。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1201O_S1A310C1MM8000/(日経)

与党内からも異論が出てきていました。国民、被災地の方の不安はこんなものではありません。国民バカにするのもいい加減してください。朝日新聞までもが報道しはじめます。

原発情報めぐり官邸後手後手 避難指示は日暮れ3時間後 2011年3月13

・・・(略)

 こうした対応に、与党の民主党内のベテラン参院議員は「具体的なデータがないので、『落ち着け』と何度も言われるたびに不安になる」と指摘。鳩山政権時代の閣僚経験者は「情報開示の仕方がお粗末だ。専門家による分析と、政治による説明の仕方は違う」と述べた。

 首相は会見で「新たな事態が生じたことに伴い、10キロ圏内の皆さまに避難をお願いしてきたが、20キロ圏の皆さまにも退避をお願いすることにした」。続けて午後8時40分過ぎから枝野氏が会見し、「爆発は建屋の壁が崩壊したものであり、中の容器が爆発したものではない」と説明。避難範囲については「具体的に危険が迫ることはないが、念のため、万全を期す観点から20キロに拡大した」と語り、放射線量が減っているのに避難範囲を広げたことには放射線量のみで判断すると受け取られたとしたら申し訳ないが、総合的な判断で20キロ圏内からの退避という判断をした」と述べた。

 こうした政府の対応について、災害時の心理に詳しい広瀬弘忠東京女子大教授(災害・リスク心理学)は、「パニックを恐れて、余計な情報は出さないという心理が透けてみえる」と話した。

 避難指示の範囲が拡大された理由の説明も遅れた。広瀬氏は「わかること、わからないことをはっきりさせて、説明するのが危機管理の基本だ。大変なことが起きているのは、すでに皆がわかっている。私たちのリスク観はもっと成熟しているのにバカにしている」と批判した。

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103120582.html(朝日)

科学的根拠はなく「念のため」と枝野氏が20キロ避難の理由を述べています。SPEEDIはどうなった?国民をバカにしているどころか、「念のため」で命の危機にさらしているのです。

地震発生から1か月、菅政権は「計画的避難地域」を発表します。ここには科学的な根拠があったようで、20キロ圏外でも葛尾、浪江、飯舘などの地区がが含まれていて、また混乱を招きます。福島復興ステーションから図をお借りします。

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http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/cat01-more.html(福島復興ステーション)

記事は朝日新聞です。

20キロ圏外に「計画的避難区域」 葛尾や浪江・飯舘 2011年4月11日

 枝野幸男官房長官は11日午後の記者会見で、福島第一原発から20キロ圏外の一部地域を新たに「計画的避難区域」に指定し、1カ月程度かけて住民を域外に避難させると発表した。原発事故の影響で住民が受け続ける、累積の放射線量が高くなるのを避けるためだ

 枝野氏は、福島第一原発北部にある福島県葛尾村浪江町飯舘村と、南相馬市の一部と川俣町の一部が対象になると表明した。南相馬市と川俣町については、今後、政権が対象市町村や県と調整したうえで具体的な地域を確定し、原子力災害対策特別措置法に基づいて菅直人首相が避難を指示する。枝野氏は会見で「すぐに避難行動をお願いするものではない」と述べ、落ち着いて準備をするよう呼びかけた。

 国際放射線防護委員会(ICRP)は、緊急時は一般の人も年間20~100ミリシーベルト放射線を浴びる場合は対策が必要と勧告。菅政権は原子力安全委員会の助言を踏まえ、事故発生から1年間の放射線積算量が20ミリシーベルトに達すると予想される地域についても、避難対象に加える必要があると判断した。

 現在は第一原発から同心円状に、半径20キロ圏に「避難指示」を出し、同20~30キロ圏に「屋内退避指示」を出した上で自主避難を要請している。新たな対応は、同心円状ではなく、これまでに測定された放射線量や、風向きや地形の影響を考慮して、飯舘村など20キロ、30キロ圏外の市町村も含めた。

 また枝野氏は、原発から20~30キロ圏のうち、今回計画的避難区域の対象にならない地域を、これまでの「屋内退避指示」から「緊急時避難準備区域」に切り替える方針も発表した。広野町楢葉町川内村田村市の一部、南相馬市の一部が対象だ。ただし30キロ圏内でも、田村、南相馬両市の一部地域、いわき市については全体について、避難準備区域の指定から外れ、屋内退避指示も解除される見通しだ

 避難準備区域内の住民に対しては、放射性物質が大量放出されるなどの緊急時に備えて、屋内に退避したり、圏外に避難したりできるよう常に準備しておくよう要請する。子どもや妊婦、入院患者は立ち入らないよう求め、保育所や幼稚園、小中学校、高校は休園、休校となる。自主的な避難も引き続き求める。

 枝野氏は会見で「避難指示に基づいて避難しているみなさん同様、政府の支援、補償の対象になる」と述べ、自主避難する住民らに補償する考えを示した。

     □

 〈計画的避難区域〉指定された地域の住民は、約1カ月かけて別の場所へ計画的に避難することになる。市町村、県、国が連携して避難計画をつくる。福島第一原発から半径20キロ圏より外側の地域で、累積放射線量が事故発生から1年間で20ミリシーベルトに達する恐れのある地域が指定される。原子力災害対策特別措置法に基づく措置。

 〈緊急時避難準備区域〉緊急の場合に屋内退避や避難ができるよう、前もって準備をしておく必要がある区域。子供や妊婦、要介護者、入院患者などは立ち入らないよう求められる。区域内の保育所、幼稚園、小中学校、高校は休園、休校となる。現在屋内退避の指示が出ている福島第一原発から20~30キロ圏内のうち、新たに設ける計画的避難区域に含まれない地域が指定される。

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104110293.html(朝日)

 図を見ると計画的避難地域は北西方向に長くなっています。これはSPEEDIもしくは、何らかの科学的根拠に基づいていると思われます。後の公開されたSPEEDIの図と計画的避難地域がオーバーラップしているからです。

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はじめは、3キロ→10キロ→20キロと「念のため」で広げていったのですが、さすがに「計画的避難地域」の設定には、きちんとせざるを得なかったってことです。裏返せば、計画的避難地域の方々は、情報があるにも関わらず20キロ圏外だったので被ばくの危険性にさらされていたということです。政権にはその辺りの緊張感も、責任感も感じられません。「俺たち一生懸命やったもん!悪くないもん!責任ないもん!」、そこにあるのは、卑怯な自己保身だけです。
さらに菅総理は、計画的避難地域で故郷を離れることを余儀なくされる人々の感情を逆撫でするような発言をします。時事通信です。

福島原発周辺「20年住めない」=菅首相 2011/04/13

 菅直人首相は13日、福島第1原発周辺の避難区域について「そこに当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのかということになってくる」と述べた。松本健一内閣官房参与が首相との会談後、記者団に明らかにした。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2011041300644(時事・リンク切れ)

これが東工大卒の理系の総理の発言です。学生運動ばかりで、学業をおろそかにしていたことがわかります。さすが4列目の男です。

この発言を漏らした松本内閣官房参与に対し、菅総理が怒り、松本氏は「私の発言」と撤回してはいますが、菅総理の発言としか思えない冷徹なものがあります。

この10年、20年には何の科学的根拠もありません。そこには避難される方への思いやりも何もありません。ただ自分が正義のヒーローで、「多くの国民を20年も住めない土地から避難させ救った」という物語を描いているだけにすぎません。

故郷を失う人々の悲しみの微塵もわからない人たちなのです。

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