日本には、自分で自分の首を絞めている二つの談話が存在します。「河野談話」と「村山談話」です。
「河野談話」とは「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話韓」で宮澤喜一内閣の1997年8月4日に発表されました。韓国の主張する「慰安婦の強制連行に日本軍が関与していた」ことを事実と認め、「心からのおわびと反省の気持ち」を日本政府として表明しています。短いですので、全文を紹介します。
慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話 平成5年8月4日
いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html(外務省)
「村山談話」は、1995年8月15日の戦後50周年記念式典に際し、当時の村山富市総理が「戦後50周年の終戦記念日にあたって」と発表した談話です。日本の植民地支配と侵略を明言し、アジア諸国への謝罪をおこないました。その一部を抜粋します。
「戦後50周年の終戦記念日にあたって」 村山内閣総理大臣談話
・・・(略)
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。・・・(略)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html(外務省)
この二つの談話を元に、韓国は慰安婦問題と植民地問題の解決を強く日本に迫ることになります。すべては1965年6月に、日本と韓国との間で調印された「日韓基本条約」にのおいて解決済みであるのにかかわらず、この二つの談話が戦後賠償問題を蒸し返す起爆剤となったのです。(朝日新聞の捏造も大きな要因です。)
参考「日韓基本条約」
「日韓基本条約」とは、1965年に日本(佐藤栄作政権)と大韓民国(朴正煕政権)との間で締結された「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」と同時に締結された「付随協約」をまとめて、こう呼んでいるようです。よく話題になる「請求権」の件は、付随協約の一つ「日韓請求権並びに経済協力協定」の第二条に記されています。
「日韓請求権並びに経済協力協定」第二条
1.両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
2.この条の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれの締約国が執つた特別の措置の対象となつたものを除く。)に影響を及ぼすものではない。(a)一方の締約国の国民で千九百四十七年八月十五日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益(b)一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつて千九百四十五年八月十五日以後における通常の接触の過程において取得され又は他方の締約国の管轄の下にはいつたもの
3.2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。
「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」、「いかなる主張もすることができないものとする」という文言が国際条約として交わされたにも関わらず、韓国政府は慰安婦、徴用工と蒸し返しては金を集りに来ているのです。
条約を交わした当時の日本政府も、その辺の事情・韓国人の性質を分かっていたからこそ「完全かつ最終的に」「いかなる主張も」という文言を入れたに違いありません。安倍総理も慰安婦合意の際に「最終的かつ不可逆的に」の文言をいれたのも同様の理由でしょう。
しかし、その上を行く韓国政府の厚顔無恥ぶりです。ただ韓国政府だけが悪いのではなく、これ以降日本国内で韓国に対し甘やかしてきた歴代政治家・朝日新聞をはじめとするマスコミにも大きな責任があります。その多くは甘い汁を吸っていたのだと思いますが、自虐史観に基づく正義感にかられた人もいたかもしれません。「河野談話」「村山談話」はその甘い汁と間違った正義感の表れです。
一方でこの条約により、韓国側の請求権だけでなく日本側の請求権、すなわち1910年の日韓併合以降朝鮮半島に莫大な投資をして残してきた数々のインフラ・建築物の請求権に加えて、1965年までに韓国によって拿捕・抑留された日本漁船・漁民に対する韓国への請求権もここに消えたことをメモしておきます。