菅総理が、就任早々消費増税をぶち上げるものだから、2010年7月11日の参議院選の争点が「消費税」になってしまいました。さらに「みんなの党」「たちあがれ日本」「新党改革」など新党が入り乱れた激しい選挙戦となりました。
朝日新聞の参議院選2010 「参院選ことバトル」でその選挙戦の各人の主張をひろってきました。
菅さんが演説でぐらぐらしている。消費(増)税は自民党政権で何人もの総理が選挙の時に訴え、残念ながら失敗して腹を切ってきた。自民党はその重みを痛いほど知っている。しかし菅さんはいままで野党にいて、国民の批判も受け止めてという経験をお持ちでない。ゆるんでいるんだと思うんです。
安倍晋三・元首相(自民党)(7日、長野県塩尻市での街頭演説)
「昨年の総選挙で民主党は空前のばらまきをやった。全国を回ったガソリン値下げ隊は解散し、今は奇兵隊(内閣)になったと言っている。私は奇兵隊の本場、長州から来た。あんな人たちに奇兵隊なんて言ってもらいたくない。気をつけよう、暗い夜道と民主党。増税してばらまいて、景気が良くなるわけがない。」
「官僚機構は、戦前よりも国民生活にものすごく影響を持っている。これを変えるにはどうしたらいいか。国民のみなさんの強力なバックアップがなければできない。参議院もやっぱり自前で過半数がないと本当の改革はできない。私も(菅直人首相から)「静かにしていろ」と言われているが、静かに静かにみなさんにお願いを申し上げている。」
「まずはこの選挙に勝たせて頂き、3年先の総選挙までしっかりと前に進ませて頂きたい。菅(直人)総理は若干、私以上にせっかちで何年も先のことまで色々なことを考えるものですから、この選挙は(消費税を含む)税金のことが争点だと勘違いしておられる方がいるかもしれません。私たちは、次の総選挙までは徹底して無駄を削っていきます。」
「私が総理の時に「在任中は決して消費税を上げない」と申しあげた。その思いは菅総理にも引き継がれている。次の総選挙まで消費税を上げることは決してないと、菅総理とも合意している。社会保障にお金が足りないのはその通りだが、その前にもっと無駄遣いをなくす努力が必要だ。参院選の争点は改革をさらに強めるのか、時計の針を逆に戻すかだ。」
http://www.asahi.com/senkyo2010/news/kotoba.html(朝日)
選挙後-----------
仙谷官房長官
「左うちわの選挙かと思ったが、そうは問屋が卸さない。」 (朝日新聞)7月12日
http://www.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007120019.html(朝日)
仙谷氏が語る通り、民主党の大敗に終わり、衆参ねじれ状態が発生します。そして、菅総理は、党内で当然起こる責任論を封じ込めにかかります。読売新聞と朝日新聞です。
与党大敗、過半数割れ…民主激減44議席 2010年7月12日
第22回参院選は11日、投票が行われ、即日開票された。
昨年9月に民主党が政権を獲得して以降、初の全国規模の国政選は、民主、国民新の連立与党が非改選議席を含め参院の過半数(122議席)を割り込み、大敗した。
民主党は菅首相の設定した勝敗ラインの改選議席(54議席)を下回り、44議席に激減した。改選定数11の1人区で自民党に大きく負け越し、選挙区全体でも水をあけられた。
自民党は堅調で、改選議席(38議席)を超えて51議席に伸ばし、改選第1党になった。
・・・(略)
https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news/20100711-OYT1T00754.htm(読売)
菅首相、責任論封じ込め まず謝罪、人事凍結の了承得る 2010年7月13日
参院選で敗北した菅直人首相(民主党代表)は12日、内閣改造や党役員人事を先送りし、責任論の封じ込めに動いた。勝負は9月に予定されている党代表選と思い定め、党内のこれ以上の混乱を避けることを狙った。
「私の説明不足から、ご迷惑をおかけした。大変重い選挙戦だったが、私の至らなさだ。結果を真摯(しんし)に受け止め、もう一度再スタート、政権にあたらせていただきたい」
・・・(略)
消費税を含む税制抜本改革についても「必ずしも当初想定していた期限にこだわらず、幅広い国民の理解と合意を得られるようなペースで進めていく」。2010年度内の党の改革案取りまとめには固執せず、首相の財政再建路線の立て直しを模索する。
・・・(略)
http://www.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007120501.html(朝日)
この選挙でのトピックスです。
・民主党の蓮舫氏が東京選挙区で過去最高の170万票を取りました。
・歌手の喜納昌吉氏、桂きん枝氏、元五輪体操選手の池谷幸雄氏など
民主が擁立したタレント候補が、のきなみ落選しています。三原氏は、2019年6月、素晴らしい演説を行いました。
・「教育に中立はない」の輿石東氏が、自民新人の宮川典子氏に僅差で勝利しています。
個人的には、この件が一番残念でした。あと6年間、国会議員を続けるのです。
この敗戦を受けても、菅内閣は、9月に控える代表選までは現体制で臨むこと表明します。朝日新聞です。
9月の民主代表選前の内閣改造否定 官房長官 2010年7月12日
仙谷由人官房長官は12日午前の記者会見で、9月に予定される民主党代表選前には菅直人首相は内閣改造を行わないとの見通しを示した。仙谷氏は、代表選前の内閣改造はないのかという質問に対して「原則としてそう受け止めていただいて結構だ。首相とのやりとりで感じている限りの話をしている」と述べ、内閣改造を行うとしても代表選後になるとの認識を示した。
http://www.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007120172.html(朝日)
この参院選で、千葉景子法務大臣が神奈川選挙区で落選していますが、そのまま法務大臣を続けることになります。民間人が法務大臣を務めるということで議論が起こりました。また千葉氏は、それまでは死刑執行にサインをしてこなかったのですが、この落選した後(参議院議員としての資格はまだありました)、死刑囚2人の死刑執行にサインをして、さらに刑務所を訪問し、現場に立ち会っているのです。
→◇千葉景子氏と死刑 - 民主党政権3年3か月の研究
サヨクの考えることは、よくわかりません。
9月に代表選があるからと現体制を維持した形となり、誰も責任をとらなかった民主党ですが、菅総理自らは、お遍路の旅にでるパフォーマンスをすることで責任を取った気分に浸るのでした。
菅氏にとってお遍路は、国民に対する禊のパフォーマンスを意味するようです。また、マスコミがそのように演出して報道します。責任のごまかしにお遍路を使われたら、さすがの空海。弘法大師も立つ瀬がないでしょう。