民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

■代表選挙 小沢氏vs菅氏

2010年9月1日に民主党代表選挙が告示されました。今回の選挙は2年前の小沢氏が無投票で代表になったのが任期満了にともなうもので、国会議員だけでなく地方議員、サポーターも投票するものです。任期途中の代表選は、国会議員だけで行うようです。

参院選の敗退の責任を問う選挙でもあり、民主党政権のこれまでの失政を立て直すための選挙でもありました。

菅総理が立候補するのは当然のことですが、とうとう小沢氏自らが立候補を宣言します。勝った方が次の総理です。

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当時の小沢氏の決意を表明です。

動画はこちらから。

全文は、ブログ「父さんの日記」さんからお借りします。

小沢一郎氏の決意表明 於2010年9月14民主党代表選挙集会(臨時党大会)

お集まりの皆様、そして国民の皆様、小沢一郎でございます。皆様には今回の代表選の期間中、菅(直人)総理と私の主張をお聞きいただき、また、激励していただきました。ここに、まずもって心からお礼を申しあげます。また、昨年来、私自身にかかわることで、同志の皆様を始め、国民の皆様に大変、ご心配とご迷惑をおかけしたことを、この機会に心からおわび申しあげます。さて、今回の立候補にあたっては、今日の危機的な政治経済事情の中で、果たして自分にその資質があるだろうか、政治の最高責任者として国民の生活を守るというその責任を果たすことができるだろうか、と本当に悩み、自問自答いたしました。それにもかかわらず立候補を決意をしたのは、今、政治を変えなければもう間に合わないという、私の切実な思いを正々堂々、世に問いかけたかったからであります。

思い起こせば、私は27歳で衆議院議員に初めて立候補した際、選挙公報にこうつづりました。「このままでは日本の行く末は暗澹(あんたん)たるものになる。こうした弊害をなくすため、まず官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さなければならない」と。意志なき政治の行き着く先には国の滅亡しかありません。日本は敗戦を経て本質は変わっていないのではないか。若かりしころの、感じたその思いは初当選以来、いまなお変わっておりません。

今日、わが国はデフレによる経済の収縮、少子高齢化の既存の社会制度のギャップによる不安など、経済も社会も危機的な状況に陥っております。世界で最も層が厚かった中間所得層が解体され、ごく少数の富裕層と数多くの低所得層への分化が急速に進んでおります。日本が誇った社会保障制度も崩れつつある中、2年後には団塊の世代が年金受給者となる日を迎えます。

今、日本は、最も大事にされなければならないお年寄りがいなくなっても誰も気づかず、また、就職できない多くの若者が絶望感にさいなまされ、若い親が育児を放棄しわが子を虐待する。もはや高度成長がいろいろな問題を覆い隠してくれた時期はとうに過ぎ去って、社会の仕組みそのものが壊れています。そしてまた、日本人の精神風土も興廃し始めていると思います。

今、ここで政治を見直し、行政を見直し、国のあり方を見直さなければ、もう日本を立て直すことができないのではないかと思います。多くの国民の皆さんも同じように感じていたのだと思います。昨年、われわれ民主党に一(いち)縷(る)の思いを託し、政権交代を実現させていただきました。しかしもう1年が過ぎ、残された任期はあと3年であります。

私たちは今、直ちにこの3年間を国の集中治療期間と位置づけ、徹底した改革を断行し、実行していかなければなりません。しかしその改革は明治維新以来140年続く官僚主導の政治を、根っこから国民主導、政治主導に変えなければとても成し遂げられるものではありません。私の頭の中を占めているのはその思いなのであります。

しかし、私は官僚無用論を言っているわけではありません。日本の官僚機構は世界に冠たる人材の集まっているところであると考えております。問題は政治家がその官僚をスタッフとして使いこなし、政治家が自分の責任で政策の決定と執行の責任を負えるかどうかということであります。

私は40(歳)代でたまたま国務大臣自民党幹事長に就任するという機会があり、国家はどう運営されているのか、その実態を権力の中枢でつぶさに見続けて参りました。そこで見た官僚主導の、例えば予算作りでは、各省のシェアが十年一日のごとくほとんど変わることがありませんでした。官僚組織というのはそういうものであります。

その中で私は、自民党の中にいながらこの改革は無理であることを骨身に染みて分かりました。だからこそ、政権与党である自民党を飛び出して、真にしがらみのない政党を作り、政権を変えるしかないという決意をもってこの17年間、政治活動を続けて参りました。

改めて申しあげます。昨年、政権交代が実現したのは、こんな日本を何とか変えてくれ、という国民の悲痛なまでの叫びからだったはずであります。この声に応えようと、菅総理大臣始め閣僚の皆さんが一生懸命に取り組んでおられることを否定をするものではありません。

しかし、政治と行政の無駄を徹底的に省き、そこから絞り出した財源を国民の生活に返すという、去年の衆院選マニフェストの理念はだんだん隅においやられつつあるのではないでしょうか。実際に来年度の予算編成は、概算要求で一律10%カット。これではこれまでの自民党中心の政権と変わりません。財政規律を重視するという、そういうことは大事なことではありますけれども、要は官僚の抵抗で無駄を削減できず、結局マニフェストを転換して国民に負担をお願いするだけではないでしょうか。これでは本当の意味で国民の生活は変わりません。

私には夢があります。役所が企画した、まるで金太郎あめのような町ではなく、地域の特色にあった町作りの中で、お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人たちが集う都市が調和を保ち、どこでも一家だんらんの姿が見られる日本。その一方で個人個人が自らの意見を持ち、諸外国とも堂々と渡り合う自立した国家日本。そのような日本に作り直したいというのが、私の夢であります。

日本人は千年以上前から共生の知恵として、和の文化を築きました。われわれには共生の理念と政策を世界に発信できる能力と資格が十分にあります。誰にもチャンスとぬくもりがある、豊かな日本を作るために、自立した国民から選ばれた自立した政治家が自らの見識と自らの責任で政策を決定し実行に移さなければなりません。

そして、霞ヶ関で集中している権限と財源を地方に解き放ち、国民の手に取り戻さなければなりません。そのため、国のひも付き補助金を順次すべて地方への一括交付金に改めます。これにより、地方では自主的な町作りやインフラ整備が可能になります。国、地方を通じた大きな節約効果と、そして地域経済の活性化が期待できます。また、地域での雇用が生み出され、若者がふるさとに帰り、仕事に就くこともできるようになります。

また私は、国民健康保険、介護、生活保護などに対する補助金、15兆円を社会保障関係費として、一括地方に交付します。これにより各地方の実情に合わせて、また地方の知恵を生かして、より効率的な福祉行政が行える仕組みに改めます。われわれに期待されているのは、いびつになってしまったこの国の形と日本人の生活をもう一度蘇らせる大改革なのであります。国民の皆さんにご負担をお願いするのは、ここにいる皆さんがありとあらゆる知恵を絞って、できることすべてに取り組んでからでいいはずであります。そしてそれが、昨年の総選挙で民主党と国民との約束でなかったでしょうか。

政府・与党の政策の一元化のもと、改革を実行するのが民主党です。政府が作成した法案に、後から与党議員が意見をいう、自民党と同じような事前審査の仕組みではありません。私は政府と与党の議員、誰もが対等に話し合って、政策を一から作り上げる、全員野球の態勢を積極的に進めたいと考えております。

また外交政策においては、日米関係は、わが国にとり最も重要な二国間関係と考えております。日中、日韓関係は、日米関係に次いで重要な二国間関係であり、長い歴史を踏まえ、今後、政治、経済、文化とあらゆる分野で協力関係を深めていかなければなりません。特に拉致問題については、みずから対策本部長として全力で取り組みます。国際関係はまず市民の心の交流こそが必要であるとの認識のもと、実際私は長年にわたり、草の根交流を続けております。さらには日中韓3カ国の協力のもとで、環太平洋諸国も含む東アジア共同体を推進したいと考えております。

また農業、漁業の戸別所得補償制度の充実を前提として、EPA経済連携協定)、FTA自由貿易協定)を始め、広域的な経済連携も積極的に推進いたします。景気対策とデフレ克服にも最優先で取り組まなければなりません。日銀法改正などの制度改革や、インフレターゲット政策も視野に入れるなど、金融政策と財政政策の両面からあらゆる手段を講じます。

また、人と人との新たなきずな作りにも取り組みます。民主党として新しい公共の考えを積極的に届け出、NGO(非政府組織)やNPO(民間非営利団体)をはじめ、ボランティアや企業の社会貢献活動を積極支援するとともに、政府の持つ情報もできる限り開示いたします。衆議院解散総選挙はこうした改革に与えられた任期を費やして、その結果を出してからのことであります。官僚支配の140年のうち、40年間、私は衆院議員として戦い抜いてきました。そしてようやく官僚機構と対立できる政権の誕生にかかわることができました。われわれは国民の生活が第一の政治の幕開けにやっとこぎつけたのであります。官僚依存の政治に逆戻りさせるわけにはいきません。それはとりもなおさず、政治の歴史を20世紀に後戻りさせることになるからであります。私は代表になってもできないことはできないと正直に言うつもりであります。しかし、約束したことは必ず守ります。

こう断言できるのは官僚の壁を突破して、国民の生活が第一の政治を実行するのは、最後は政治家の志であり、改革のきずなで結ばれている皆さんとなら、長い時代の壁を突破できると信じるからであります。そして私自身は、民主党の代表すなわち国の最終責任者として、すべての責任を取る覚悟があります。

今回の選挙の結果は私にはわかりません。皆さんにこうして訴えるのも、私にとっては最後の機会になるかもしれません。従って最後にもう一つだけ付け加えさせてください。明治維新の偉業を達成するまでに多くの志を持った人たちの命が失われました。また、わが民主党においても、昨年の政権交代をみることなく、志半ばで亡くなった同志もおります。このことに思いをはせるとき、私は自らの政治生命の総決算として最後のご奉公をする決意であります。そして同志の皆さんとともに、日本を官僚の国から国民の国へ立て直し、次の世代にたいまつを引き継ぎたいと思います。そのために私は政治生命はおろか、自らの一命をかけて全力で頑張る決意であります。皆さんのご指示、ご理解をお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。

http://rightaction.cocolog-nifty.com/blog/files/100914.pdf(父さんの日記)

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 小沢氏の全生涯をかけた、なみなみならぬ決意は伝わってきます。これが自身が総理になれる最後のチャンスかもしれないのです。

しかし、鳩山政権での数々の小沢氏の蛮行ともいえる行いを見ていたネトウヨからすると、むなしく響くものがあります。暫定税率廃止の廃止、陛下の政治利用、陳情の一元化、不動産購入疑惑・・・。あなたの40年間は蓄財の40年だったではありませんか。庶民感覚から、かけ離れた桁違いのおカネが飛び交っているのです。その張本人から「約束は必ず守ります」と言われても困ってしまいます。

日経新聞の記事で、この代表選における菅氏と小沢氏の争点がまとめられています。

民主代表選 菅首相「職務を全う」 小沢氏「最後の奉公」
首相続投か交代か 消費税など焦点 2010/9/1

民主党代表選は1日午前、告示され、再選を目指す菅直人首相と小沢一郎前幹事長が立候補を届け出た。消費税増税や「政治とカネ」、衆院選マニフェスト政権公約)の修正の是非などが焦点。412人の国会議員に加え、地方議員、党員・サポーターも参加する2002年以来の本格的な代表選。首相の座をかけ、14日の投開票に向け、党内を二分する激しい選挙戦が展開される。

首相は1日昼、防災訓練視察のために訪れた静岡県伊東市で記者団に「全国の皆さんにも自分たちの首相を決めるんだという声を大いに上げてほしい。首相の職務を徹底的に全うし、しっかりやっていくという姿勢で臨みたい」と語った。

小沢氏は同日午前の陣営の決起集会で「自民党と変わらない姿なら政権を託された意味はまったくない」と首相を批判。出馬について「長い政治生活の集大成として国民への最後のご奉公と思っている」と語った。

菅陣営には前原誠司国土交通相野田佳彦財務相らのグループなどが加わっている。小沢氏の決起集会には鳩山グループ中山義活衆院議員や平野博文官房長官羽田孜元首相、田中真紀子衆院議員らが出席した。

・・・(略)

両氏は同日午前、政見を発表した。首相は消費税に関して「社会保障改革は財政と一体で議論し、その中で消費税を含む税制の抜本改革についても検討する。実施にあたっては国民の信を問う」と明記した。衆院選マニフェストは「できる限り誠実に取り組む。財源の制約で実現が困難な場合は国民に率直に説明し理解を求める」と、修正をにじませた。

国家公務員の人件費については「2割削減に向け、人事院勧告を超えた削減を目指す」と訴えた。沖縄の米軍普天間基地移設問題では「日米合意を踏まえて取り組む」と理解を求めた。

小沢氏は2兆円規模の円高対策を打ち出すとともに「日本経済を守るために市場介入を含むあらゆる方策を果断に実施する」と強調した。

衆院選マニフェストは「誠実に実行することに全力を挙げる」と約束。(1)子ども手当は11年度に現行の月額1万3千円から2万円に引き上げ、12年度から満額の2万6千円を支給(2)農業の戸別所得補償は拡充し、11年度から漁業にも段階的導入――などとした。普天間問題は「沖縄県民と米国政府がともに納得し得る解決策」をめざすとし、国連を中心とする平和活動に積極的に参加することも強調した。

https://www.nikkei.com/article/DGXNNS0010005_R00C10A9000000/(日経)

 菅氏が消費増税を含め現実路線を訴えているのに対し、小沢氏はマニフェスト・バラマキ路線を踏襲している形です。

 

そして結果は、菅氏の圧勝です。小沢氏は国会議員票では、菅総理206人に対し小沢氏200人と半数近くを得ましたが、地方・サポーター票で大きく水をあけられました。おカネにまつわる疑惑をマスコミに報道されたのが響いた形です。

個人的な感触ですが、当時マスコミは小沢氏を悪人に仕立て上げることで民主党政権の擁護をしていたように思います。政権に積極的に擁護するポイントがなかったからでしょうけど・・・。

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日経新聞の記事からです。

民主代表に菅氏 国会議員票でも小沢氏上回る 2010/9/14

民主党代表選は14日、臨時党大会で投開票を行い、菅直人首相が小沢一郎前幹事長を破り、再選を果たした。党所属国会議員と党員・サポーター、地方議員による投票で首相は721ポイントを獲得し、小沢氏の491ポイントに大差をつけた。首相は17日にも内閣・党役員人事を実施し、新体制で円高・株安対策や日米同盟強化などの政策を実行する態勢を整える。ただ与党は参院過半数割れしており、党を二分した激しい選挙戦の影響もあり、首相の政権運営は厳しさが避けられない。

再選を果たした首相は選出直後のあいさつで「約束した通りノーサイドで、挙党態勢で頑張り抜くために、全国会議員、全党員の協力を心からお願いしたい」と強調した。敗れた小沢氏も支持議員の会合で「また一兵卒として民主党政権を成功させるために頑張っていきたい」と語った。

投票の結果、首相は党員・サポーター票で249ポイントと、小沢氏の51ポイントに約5倍の大差をつけた。地方議員票も首相は60ポイントで、小沢氏の40ポイントに勝利した。

両陣営が投票直前まで多数派工作を展開した国会議員でも、劣勢とみられていた首相が206人(412ポイント)を得て、小沢氏の200人(400ポイント)をわずかに上回った。

代表再選後、記者会見した首相は国会対応について「体制が固まった後で、野党の皆さんとも考えたい」と、野党との連携を模索する考えを示した。経済対策では「第2ステップとして補正予算も含めて検討する」と語り、年内の今年度補正予算案の編成も視野に状況を見極めると表明した。

同時に「(衆院議員の残り任期が)3年間あることを念頭に置いて、いよいよ本格的に日本経済の立て直しを始め取り組んでいく」と早期の衆院解散・総選挙を退けた。

14日間にわたった代表選は民主党が与党して初めて実施する党首選びで、経済対策や政治主導などの政権運営、「政治とカネ」問題などが争点となった。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1401K_U0A910C1000000/(日経)

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