民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

◇国労との和解で200億円・JR不採用訴訟

まずは、日経新聞の記事をご覧ください。

JR不採用問題決着へ 国労と国が和解方針 2010/4/9
 1987年の国鉄分割・民営化に伴う国労組合員らのJR不採用問題で、与党3党と公明党は9日、係争中の910世帯に平均約2200万円を支払う和解案を国労側に提示した。国労側はすべての訴訟を取り下げて和解に応じる方針を表明。前原誠司国土交通相も政府として受け入れる意向を明らかにし、23年にわたる紛争は政治決着する。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG09037_Z00C10A4CR8000/(日経)

国労と言えば、旧国鉄において利用者へのサービスをそっちのけで自らの権利を主張するため順法闘争やストなどを繰り返し、ヤミ休暇やヤミ休憩など民間企業には考えられない労働環境をもたらしてきた組合です。民営化反対のテロまがいの運動をしていた中核派などの過激派も組織内に抱えていました。

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国鉄からJRに移行する際に、不採用になった国鉄労組職員が不当と訴訟を起こしたのです。それまでの政権は、正々堂々と戦ってきたのですが、民主党政権になってのこの和解です。非常に違和感を覚えます。
まずこれは、JRの問題です。分割民営化してから20年以上もたった民間の一企業の問題に対して、税金から200億以上の支出をするなど考えられません。(直接政府からではないようです。独立行政法人を通して支払われました。下記追記参照ください。)一方で財源がないからと事業仕分けで各方面の予算を削り、マニフェストを反故にしている状況下です。しかもJRには、法的責任はないとの最高裁判決が2003年に出されているのです。

その判決を裁判所のWEBから探してみました。

事件番号           平成13(行ヒ)96

事件名               各不当労働行為救済命令取消請求事件

裁判年月日       平成15年12月22日

法廷名               最高裁判所第一小法廷

裁判種別           判決

結果                   棄却

判例集等巻・号・頁  民集 第57巻11号2335頁

原審裁判所名    東京高等裁判所

原審事件番号    平成10(行コ)119

原審裁判年月日               平成12年12月14日

判示事項  1    JR各社の成立の時の職員の採用について専ら日本国有鉄道が組合差別をした場合における JR各社の設立委員ひいてはJR各社の労働組合法7条にいう使用者としての責任

2    雇入れの拒否と労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱い

裁判要旨  1    日本国有鉄道改革法6条2項所定の旅客鉄道株式会社及び同法8条2項所定の日本貨物鉄道株式会社の設立委員ひいては上記各社は,その成立の時の職員の採用について,日本国有鉄道がその職員の中から上記各社の職員となるべき者を選定してその名簿を作成するに当たり専らその意思により組合差別をしたという場合には,労働組合7条にいう使用者として不当労働行為の責任を負わない。

2    雇入れの拒否は,それが従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならないとして不当労働行為の成立を肯定することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り,労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱いに当たらない。

(1,2につき反対意見がある。)

参照法条           労働組合法7条,労働組合法7条1号,日本国有鉄道改革法6条,

日本国有鉄道改革法8条,日本国有鉄道改革法15条,日本国有鉄道改革法21条,

日本国有鉄道改革法22条,日本国有鉄道改革法23条,

旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律附則2条

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57043(裁判所)

JR労組といえば、革マルとお友達を指摘された枝野幸男氏(衆・埼玉5区)の顔が浮かびます。
  →■革マルとお友達の官房長官・枝野氏 - 民主党政権3年3か月の研究
この和解を決定したのは、前原誠司国土交通大臣です。

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この支出は、民主党自らの支持団体、お友達の組合に大盤振る舞いをしたとしか考えられません。加計問題における総理と理事長がお友達のレベルと動いたお金の額が違います。この件は、マスコミであまり報道されなかったので、知らなかった方も多いと思いますが、モリカケ問題以上の政治の私物化に他なりません。

「コンクリートからお友達へ」 
民主党の議員たちにとっては「議員になったらこれくらいメリットないと・・・」と常識で普通のことなのでしょう。特定の団体を潤すために、あの手この手を使って疑惑が起きないように国民の目を欺きながら、用意周到に法律や制度をつくっていく。民主党政権の得意技だと私は考えています。
そして彼らは、自民党の議員や安倍総理も、自分たちと同じだろうと思っているようなのです。モリカケにあれだけ執着するのは「安倍総理がお友達を優遇していないわけがない。自分たちがやっているから・・・。やらないはずがない。」なのかもしれません。

追記・2019年6月17日)この件について国会で議論がなされていたかどうかを調べてみました。国会議事録検索で「JR」「和解」では3件しかありませんでした。それも和解1年後以降で、質問者は社民党2人、公明党1人です。公明党民主党連立政権の与党3党とともに和解提案側です。野党である自民党は、追及しなかったのでしょうか??政権交代を潔く受け入れるために反論しなかったのでしょうか?
ここでは、社民党服部良一議員の質問を参考に紹介しておきます。サヨクの考え方がわかります。
「カネはもらった、けど雇用が足りない。もっとくれ。」

2011年年02月25日 衆議院予算委員会第八分科会

○服部分科員・・・(略)
 続きまして、昨年、まさに歴史的とも言えるJRの解雇問題の和解が成立いたしました。私が察するところ、大畠大臣はこの件については特別な思いを持っておられるんじゃないかなと思っておりまして、二十三年かかって解決したこのJRの解雇問題、これに対する大臣の思いをぜひお聞かせいただきたいのが一点です。
 それから、しかし、御存じのように、まだ再雇用の問題というのが解決をしておりません。これは別に何千人、何万人雇えという話じゃないんですから、この再雇用の解決に向けてテーブルづくりをするとか、大臣にはぜひ一汗かいていただきたいなというふうに思っておりまして、その決意なり思いも含めて大臣の声をお聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
○大畠国務大臣 服部議員から、JRの不採用問題についての御質問を賜りました。
 私も、この課題については、おおよそ二十年ぐらい、いろいろな場面でお話を聞いたり、あるいは北海道の現地に伺って、その方々との、あるいは家族の方々とのお話し合いというものもしたこともございます。
 千四十七名の方が解雇をされたという事実、そしてその後、この千四十七名の方々を中心として、さまざまな方々が助力をして、何とかこの問題を解決したいという御努力をずっとされてこられました。時には解決の糸口が見えるかなと思うときもありましたし、それがさまざまな形でそうならなかった、こういうことがございました。
 結果として、先ほど服部委員から御指摘のように、平成二十二年の四月九日、民主党社会民主党、それから国民新党公明党の各幹事長からの「国鉄改革千四十七名問題の政治解決に向けて」、こういうお申し入れを当時の前原国土交通大臣に提出され、そのことが一つのきっかけとなって、この問題に一つの大きな解決の流れというものができたわけであります。
 政府が五月の十八日に、四党の解決案というものを正式に受け入れる、こういうことを決定し、鉄道・運輸機構に対して裁判上の和解を行うよう指示をいたしました。その結果、昨年六月二十八日に、原告団の九百十名のうち九百四名の方々と鉄道・運輸機構との間で和解が成立したことも先生御存じのとおりであります。
 解雇から二十年以上が過ぎまして、たしか五十名を超える方々がもうお亡くなりになっているということでありますが、この長きにわたる問題解決に向けての流れの中で、原告の方々が大変な思いをした、そして家族の方々も、同じように、同様以上に大変な思いをしてきたことは私も実感をしておりまして、今回、人道上の観点から、大変歓迎すべき時代に入ったと考えております。

追記 2019年12月17日)新たな詳しい情報がありましたので紹介します。
和解金の200億円は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払っているようです。記事は独立行政法人労働政策研究・研修機構からです。

JR不採用問題が24年目で和解成立/最高裁で和解条項を確認(2010年6月30日 調査・解析部)
1987年の国鉄分割民営化にあたってJRに採用されなかった国鉄労働組合国労)などに所属する1,047人が救済を求めてきたJR不採用問題は、6月28日午前、最高裁で和解が成立した。内容は、国鉄の業務を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構が、組合員に総額およそ200億円を支払うことや、原告が係争中の訴訟を取り下げることなど。原告側は今後、JRなどへの採用を希望する組合員の雇用確保に力を入れる。
今後はJRなどへの雇用確保に注力

原告側の代理人によるとこの日、合意した和解条項は、(1)機構側が原告側に対し、4月の政府解決案にもとづき合意した約200億円を6月30日に支払う(対象は和解に応じた904世帯)。ただし、すでに関連訴訟で支払った約29億円は差し引く (2)原告側は東京地裁と同高裁で係争中の訴訟を同日、取り下げる (3)今後不採用問題では争わない―ことなど。この合意を踏まえて、国労など4者4団体(国労・全動労・鉄建公団訴訟原告団など被解雇者団体で構成)は、「過ぎ去った日々は、もはや取り戻すことはできないが、本日の和解解決を契機としながら、原告らはむろんのこと、家族や遺族もそれぞれの積年の思いに一つの大きな区切りをつけて、自らの道を進み、人生の再出発がはかられるものと固く信じてやまない」「今後積み残されている雇用確保が実現されるまで全力をあげて奮闘する決意である」などとする共同声明共同声明PDF(20100630メールマガジン/JILPT)を発表した。
和解合意後、4者4団体と各訴訟を担当した代理人が記者会見を行い、原告側からは「ひと段落ついてホッとしている。雇用問題が残されており、JR各社には人道的観点から、採用を要請したい」(鉄建公団訴訟・酒井直昭原告団団長)などの発言があり、JRへの就職希望者に対する雇用確保に全力で取り組むとの決意が表明された。4月の政府解決案では、「JR北海道、九州等の各社を中心に200名位の採用を要請する」「政府はJRへの雇用について努力する。ただし、JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることを保証できない」ことが盛り込まれており、政府への要請も強めていく考えだ。会見では、原告団のうちJRへの就職を183人が希望しており、JRの関連企業も含めると原告のうち約330人がJR関係への就職を希望しているとの報告があった。
国労採用差別事件訴訟の代理人・宮里邦雄弁護士は会見で、「雇用問題ではJR各社に、社会的、道義的責任を持ってほしい。真摯な検討を呼び掛けたい」と語った。

https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20100630.html独立行政法人 労働政策研究・研修機構

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