民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

◇外国人参政権への前向き姿勢を閣議決定

前記事で取り上げたWikipedia「永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」の [注1]に記載されている「1995年の最高裁判所判決の傍論」こいつが曲者なのです。少し詳しく追っていきたいと思います。

[注1]:1995年の最高裁判所判決の傍論から、立法作業を行えば、憲法上問題なく、地方参政権は認められると解釈する学説が多いが、違憲と解釈する学説も存在する。国政参政権付与については違憲というのが通説である。

これについてWikipediaの「外国人参政権裁判」からの抜粋です。WEB上の当項目には判決文全文が記載されています。

1990年11月、特別永住者在日韓国人らが、選挙人名簿に自分たちを登録するよう大阪市選挙管理委員会に申し立てた異議が却下されたことを受け、その却下の決定の取消を求め大阪地方裁判所に提訴しました。

1993年6月、大阪地方裁判所は、原告の請求を棄却します。判決文はこちら。その理由のポイントは下記です。

憲法15条の「国民」とは「日本国籍を有する者」に限られ、定住外国人には公務員の選定・罷免権は認められない。
憲法93条2項の「住民」は「日本の国民であること」が前提となっている。よって日本国籍を有しない定住外国人には参政権憲法が保障していると認めることはできない。

原告はこれを不服として上告します。 

追記)控訴でなく、いきなり上告は公職選挙法に定められていました。
公職選挙法(訴訟)
第二十五条 前条第二項の規定による決定に不服がある異議申出人又は関係人は、当該市町村の選挙管理委員会を被告として、決定の通知を受けた日から七日以内に出訴することができる。
2 前項の訴訟は、当該市町村の選挙管理委員会の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄とする。
3 前項の裁判所の判決に不服がある者は、控訴することはできないが、最高裁判所に上告することができる。
4 ・・・(略)

 1995年(平成7年)2月28日の最高裁判決は、判決において請求棄却として原告敗訴、大阪地裁の判決が確定します。判決理由のポイントは下記の3つです。

憲法93条2項の住民とは日本国民のことであり、在留外国人に地方参政権を保障したものではない。
憲法は法律をもって居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至った定住外国人に対し地方参政権を付与することを禁止していないが、それは国の立法政策にかかわる事柄であって、そのような立法を行わないからといって違憲の問題は生じない。
・選挙権を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法11条、18条、公職選挙法9条2項の規定は違憲ではない。

問題となっている2つ目のポイントの部分の原文を参照したいと思います。いわゆる傍論と呼ばれる判決理由の一部分です。

このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。

ここで、憲法第十五条と第九十三条が出てきていますので、参照しておきます。 

第十五条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第九十三条
地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する

最高裁判所の主文は「本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。」だけです。つまり大阪地裁の判決が確定しただけなのです。

この最高裁が請求棄却した際にその理由を述べた部分が傍論と呼ばれています。

よく読むと、憲法は「法律で外国人に地方参政権を与えることは禁止していない。」と書かれていますが、「外国人に地方参政権を与えることを立法しなくても違憲ではない」とも述べられています。 要は「憲法では規定されていない立法政策の問題だよ」と指摘しているだけです。「外国人に地方参政権を付与するべき」と述べているわけではないのです。この部分だけが一人歩きして、サヨクの拠り所になってしまっているのです。

菅政権でも、この一人歩きしている傍論を根拠にして、外国人地方参政権付与についての閣議決定がなされます。日本を毀損することには本当に執念深いのです。

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とうとう赤い官房長官・仙谷氏が蠢きはじめました。産経新聞です。

政府答弁書外国人参政権への見解変更 最高裁判決の「傍論」部分を「最大限尊重しなければならない」2010.10.29

 政府は29日の閣議で、永住外国人への地方参政権(選挙権)付与について、憲法上禁止されているものではないとした平成7年の最高裁判決の「傍論」部分を「最大限尊重しなければならない」 とする答弁書を決定した。自民党上野通子参院議員の質問主意書に答えた。 

 鳩山由紀夫内閣は6月、判決のうち地方参政権付与を否定した本論部分だけを引き、「政府も同様に考えている」とする答弁書閣議決定しており、同じ民主党政権で見解を大きく変えたことになる。 

 29日に決定された答弁書は、判例拘束力のない傍論部分に「法律で地方首長、議員に対する選挙権 を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されていない」とある部分を引用して、地方参政権付与に 前向きな姿勢を示した。 

 だが、この傍論盛り込みを主導した園部逸夫最高裁判事は後に「(傍論を)重視するのは法の世界から離れた俗論」(「自治体法務研究」)と指摘。今年2月の産経新聞のインタビューには、 「本筋の意見ではない。付けなくてもよかった」と語っている。 

 答弁書はまた、民主党が昨年7月に発表した政策集「INDEX2009」で参政権付与の早期実現を掲げたことについても「必ずしも政府の見解と矛盾するものではない」とした。 

 一方、政府が今年6月4日の閣議で決定した自民党山谷えり子参院議員の質問主意書に対する答弁書では、判決の傍論部分に言及せず、憲法93条でいう「住民」は「日本国民」を意味するとして外国人への地方参政権付与を否定した本論部分だけを引用していた。 

 鳩山内閣から引き続き閣僚を務め、29日の閣議に出席した仙谷由人官房長官北沢俊美防衛相は、 内容が矛盾する二つの政府見解を示した答弁書に署名したことになる。 

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101029/plc1010291831019-n1.htm(産経・リンク切れ)

菅内閣は「判決の傍論部分を最大限に尊重」としていますが、傍論部分は「外国人参政権付与は憲法違反ではない」としているだけで、「外国人に地方参政権を与える」理由・根拠には、ならないのですが・・・。そういう風に捉えられるような閣議決定の仕方のように思います。仙谷氏の関与は間違いないでしょう。

またこの記事では、この傍論を主導した最高裁判事も「付けなくてよかった」と語っています。傍論が一人歩きして政治利用されていることに違和感を持たれているのです。この傍論は、日本を壊しかねない一文となってしまったのです。暴論です。

結果的には、2010年の参議院選挙で民主党が惨敗しねじれ国会になったのが大きく響き、民主党政権下で外国人地方参政権付与は実現しませんでした。やれやれです。これは国会がねじれたことだけが原因ではないでしょう。民主党議員のみなさんが無能な上、政権交代で舞い上がりすぎて空回りし、何もできなかったからです。無能でよかった民主党。これに関してはそう言いたいです。

現在の安倍政権においては、外国人地方参政権付与に関して、まず心配はありませんが、今でも虎視眈々と狙っている勢力がいるので油断してはいけません。

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