2019年5月1日、新天皇陛下がご即位され令和の時代が幕を開けました。
それと同時に、女性天皇、女系天皇、女性宮家が注目されるようになっています。女性天皇と女系天皇をわざと混同させて容認させるような野党・マスコミの卑怯な印象操作が見受けられますが、ここでは野田政権での「女性宮家創設」について触れたいと思います。
「女性宮家」に関しては、2004年末小泉政権の時に検討されはじめましたが、秋篠宮妃紀子さまのご懐妊にともない立ち消えになったようです。その話を野田政権が再燃させたわけです。野田総理は、もう先が短いと分かって、様々な売国法案を駆け込みで通そうとしています。人権侵害救済法、朝鮮学校無償化、そして女性宮家創設です。
まずは、産経新聞から元最高裁判事・園部逸夫氏の話を取り上げます。全体の流れがわかると思います。
【話の肖像画】元最高裁判事・園部逸夫(89)(2)2019.1.8
■庶民的なトラブル好ましくない
〈男性皇族がお生まれにならないことから平成16年末、当時の小泉純一郎首相が私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」を設置、座長代理を務めた。会議は約1年間議論を重ね、「女性・女系天皇容認」の報告書を提出したが、「結論ありきでは」「結論を出すのが早過ぎる」との反対意見も出た〉
「結論ありき」と言われれば、そうかもしれません。小泉首相の強い意志があって設置された会議ですからね。提出後、18年1月に会議のメンバーが首相公邸に呼ばれ、小泉首相や当時の安倍晋三官房長官(現首相)らと食事をしました。そのとき小泉さんは、報告書通りに皇室典範の改正案をまとめて、3月に(国会へ)提出する、とはっきりおっしゃった。(反対の立場だった)安倍さんだけが渋い顔をされていたのを覚えています。
ところが18年2月に秋篠宮妃紀子さまのご懐妊が発表されました。以来、全く音沙汰なしです(苦笑)。1年間が短かったか、どうか…。当時は差し迫った危機感があった。「何かあったときに困る」という思いが強かったのです。
女性・女系天皇に強い反対論があるのは、もちろん承知しています。日本人は、皇室に全く別の家系の一般人が入ってきて、その子供が将来、天皇になるかもしれない、ということに対する抵抗感が強い。平成24年に民主党の野田佳彦内閣で「女性宮家」の検討を行ったときも、内閣官房参与として参加しましたが、「女性」と出ただけでもう大反発です。こちらも訳が分からないまま終わってしまいました。
現実問題として、このままでは将来どんどん皇室が細ってゆき、宮家もなくなってゆくのは言うまでもありません。終戦後、皇籍離脱された旧宮家の方々の皇籍復活という案もありました。ただ、会議の議論では元来の血統としては遠い方が多く(※明治天皇の皇女らと婚姻関係を結んだ旧宮家もある)、皇籍離脱から(その時点で)約60年たっている…など、否定的な意見が強かったように思います。
https://www.sankei.com/life/news/190108/lif1901080018-n1.html(産経)
安倍晋三氏だけが、渋い顔をされていた。その思いは分かります。
次は、当時の様子を朝日新聞から。
女性宮家、内親王に限定 2案併記、論点整理を発表 2012年10月5日
野田政権は5日午前、皇室典範の見直しに向けた論点整理を発表した。女性皇族が結婚後も皇籍にとどまる「女性宮家」創設案と、結婚して皇籍を離れても新たな称号を使うなどして皇室活動を続ける2案を併記。制度改正を最小限にとどめるため、いずれも対象を天皇の子や孫にあたる「内親王」に限定した。
皇室典範では、女性皇族が皇族でない男性と結婚した場合は皇籍を離れると規定。現在、未婚の女性皇族8人のうち6人が成人していることから、論点整理では「婚姻を機に順次皇籍を離脱することにより皇族数が減少し、皇室のご活動を維持することが困難になる事態が懸念」されると指摘した。
今年2月から6回にわたり12人の有識者からヒアリングした結果を踏まえ、2案を併記。女性・女系天皇については根強い反対論があったことから皇位継承制度には踏み込んでいない。
女性宮家創設案では、女性皇族が結婚後も皇族の身分を維持することから「皇室のご活動を安定的なものとすることができる」と明記。女性皇族の夫と子を皇籍に入れる案と、入れない案の両論を並べた。
ただ、子を皇籍に入れれば女系の宮家後継者となって皇位継承権の問題に踏み込みかねないことから、夫と子を皇籍に入れても子は結婚後に皇籍を離れることも明記。夫や子を皇籍に入れない場合は女性のみが皇族で夫と子は一般国民となり、「家族内で身分の違いが生じる」とし、戸籍や夫婦の氏の扱いなど「適切な措置が必要」と指摘した。
称号案では「皇籍離脱後も皇室のご活動を支援していただくことを可能とする案」とした。女性皇族が皇籍離脱後も皇室が使う内親王などの称号を使うことは困難とする一方、新たに国家公務員として皇室活動を支援できるよう新たな称号付与を検討課題にあげた。
ただ、新制度にする場合でも一律には適用せず、女性皇族の意思を反映できる仕組みにする。すでに皇籍を離れた旧宮家の男系男子孫の皇籍復帰は検討対象外とした。
論点整理では「国民各層の議論を踏まえながら検討する」としているが、皇室典範改正案の提出目標時期には触れていない。
http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201210050157.html(朝日)
しかしヒアリングを受けた12人の一人の櫻井よしこ氏は、報道された情報に捏造があったと週刊新潮2012年10月11日号で指摘されています。
「野田政権、女性宮家問題で暴走の予兆」日本ルネッサンス 第529回
・・・(略)
論点捏造
そして今度は女性宮家創設で思いもかけない動きが表面化した。NHKが9月29日19時のニュースで、政府は女性宮家を巡る論点整理を近く公表し、来年の通常国会への提出を目指す予定だと報じたのだ。論点は、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」創設案と、皇室を離れても「国家公務員」として皇室活動に参加出来る2つの案を柱に整理されたとの報道だった。
NHKの報道は2つの点において衝撃的だ。第1は、野田政権には日本の歴史の根幹をなす皇室の在り方を論じ、皇室典範を改正するだけの力はもはやないために、論点は整理するが、閣議決定や法案提出は行わず次期政権に任せると、これまで複数の政府関係者は語っていた。だが現実は正反対で、野田政権の下で一気に皇室典範改正を進める構えが見えてきたことだ。
第2の衝撃は、論点は今年2月から6回にわたって行った有識者12人の意見陳述に基づいて整理したとしているが、12人の1人として陳述した私自身を含めて、どの陳述人も述べていない、結婚後の女性皇族は国家公務員になるという案が突如示されたことだ。これはもはや論点整理ではなく論点捏造である。NHKの報道が事実なら、野田政権は日本の皇室を葬る先兵である。
NHKの報道の前日、「朝日新聞」が女性宮家問題について報じたが、朝日の記事は「国家公務員」には触れていない。但し、NHKの報道につながる伏線は記されている。女性皇族は結婚で皇籍を離れても内親王や女王などの尊称を保って皇室活動を続けるといういわゆる「尊称案」は、「法の下の平等を定めた憲法に抵触しかねない」というくだりである。尊称の使用には憲法違反の恐れがあるため、「元女性皇族が使う新たな称号を設ける」ことが必要だと「朝日」は指摘した。NHKの報道はこの点を強調し、下記のように決定的に踏み込んでいる。
「尊称案」は「法の下での平等を定めた憲法に抵触するおそれがあり、実現は難しい」と政府は判断しており、「代わりに(元女性皇族は)国家公務員として」皇室活動を続ける制度を設けるという報道である。
意見陳述した12人の中で「尊称案」を支持した人は少なくなかった。にも拘らず、野田政権は「憲法」や「法の下の平等」まで持ち出して「尊称案」を否定しようとする。現行憲法を至高の価値観と位置づけ、2,670年の伝統を有する皇室をたかだか65年の歴史の憲法に合わせて、変えていこうとしているのだ。皇室と、戦後に米国人が作った憲法と、日本にとってどちらが本家本元かは明らかだ。野田政権の挑戦はあってはならない本末転倒で、日本の歴史、文化文明、その軸をなす皇室への悪意ある貶めである。記憶を否定
いま日本が直面するおよそすべての問題の元凶は、現行憲法を貫く価値観だといってよい。たとえば、野田政権はなぜ、尖閣諸島を購入しながら、島防衛の手を打たないのか。それは第1に、憲法の自虐史観ゆえに、中国の意向を恐れるからであろう。また、国防のための国家意思も軍事力構築も否定し、国際社会の善意という幻想に縋ってきたために、いまや尖閣防護に立ち上がる気力もないのであろうか。
アジア諸国の中で、長い歴史を通して中国の属国にも朝貢国にもならずにきたのが日本である。自主独立の誇り高い国家であり続け得たのは、危機に際しては戦って国を守ってきたからだ。そうした記憶を否定し、忘れさせる役割を担ってきた現行憲法を変えることこそ、いま最大の政治課題とすべきである。憲法を改正して戦後の歴史でねじ曲げられ、軽んじられてきた皇室の在り方も大修正することだ。
野田政権の女性宮家問題の議論を振りかえれば、この政権には皇室典範改正を担う資格がないことを痛感する。野田政権の設定した議論の大前提は、女性宮家問題を皇位継承問題と切り離すということだった。だが、両者は切り離せない。女性宮家創設は必ず、女系天皇輩出につながり、男系天皇の長い伝統を断ち切る結果になるだろう。そのことに目をつぶる議論自体がおかしく、その議論に乗る首相は男系天皇の伝統を守る気がないと言われても仕方がないだろう。
そのうえ今回の論点捏造である。結論ありきの議論を容認する野田首相にこれ以上、皇室典範改正問題を任すわけにはいかない。国政も任すことは出来ない。
野田首相に望みたい。せめて、12人の陳述意見を正しく反映させた論点整理を指示すること、それ以上のことには一切、手を触れず、一日も早く退陣することである。
https://yoshiko-sakurai.jp/2012/10/11/4325(櫻井よしこ氏)
何としてもこの法案を通したい、捏造してまでも通したい。そんな野田総理の意志が見えます。人権侵害救済法も、反対する閣僚の松原仁氏が海外出張中に閣議決定するという卑怯な手を使っています。
野田政権の末期、どじょう総理は何かに突き動かされているかのごとく、売国法案の成立に必死になっています。人権侵害救済法、朝鮮学校無償化、女性宮家の創設です。菅総理の時は、太陽光発電のFIT法を成立させてしまいましたが、野田総理の場合は、どれも阻止できました。
しかし、野田総理は、なぜこんなにも売国法案を通すのに必死だったのでしょう。誰かに脅されていたのではないかと思うのですが・・・。せめて通すポーズだけでもしておかないと、まずかったのではないでしょうか?と勘ぐってしまうのです。日本人のための政権でなかったのがよくわかります。