浜岡原発が停止の後、海江田経済産業相は6月18日、安全性が確認されたとして定期点検などで停止中の全国の原発の再起動を地元自治体に要請し、菅総理も翌日「安全性が確認されたものは稼働していく」と発言しています。
6月28日には、海江田氏が佐賀県を訪れ、九州電力・玄海原子力発電所は安心だとして再稼働を要請しました。そして7月4日には佐賀県玄海町の岸本町長が九州電力に再稼働同意を伝えていました。
ところが、急に「停止中全原発のストレステスト実施」を菅総理が言いだすのです。
ストレステスト=耐性調査をしないと再稼働を認めないということです。この調査には、ある程度の期間を要し、簡単にできるものではありません。
直前まで再稼働を準備していた佐賀県は混乱し、玄海原発再稼働同意を撤回します。
「俺が在任中には、原発の再稼働は許さない。」そんな菅総理の思惑が見えます。
海江田氏は、佐賀県を混乱させたとして辞意を表明します。お気持ちお察しします。
そのあたりの経緯について西日本新聞と日経の記事からです。
玄海の迷走「違う判断あった」 海江田万里元経産相 2012年07月04日
・・・(略)
海江田氏は閣僚懇談会で玄海2、3号機の再稼働の方針を何度も説明したという。玄海町訪問も前日に官邸に伝えていた。
「安全神話に染め上げられた『行け行けどんどん』の原発推進派と、イデオロギー的な反対派、専門家も真っ二つ。両者の溝が深くて相いれない。電力確保は日本経済にとって大事。私がやらなければ誰がやるんだ、と気負いがありましたね」
海江田氏は当時の自らの行動を「経産大臣の役割」と再三強調した。
帰京した日の夜。菅首相からの電話で状況は一変する。首相は海江田氏に言ったという。「自分は認めない。(原子力を推進する経産省傘下にある)原子力安全・保安院が言うことなんか、国民は誰も信用しない」-。
「翌日慌てて官邸に行って、初めてストレステストという話になったんです。任命権者の総理が言うなら、辞めるか、言うことを聞くしかないですから」・・・(略)
https://www.nishinippon.co.jp/feature/electric_kyushu/article/16381/(西日本新聞)
(海江田氏)「安全委を絡ませ、さらにストレステストもやれという菅首相の指示だから、枝野官房長官とも相談してぎりぎりの合意を得た。残念なことだが、浜岡原発の停止要請以降、少しずつ菅首相と距離ができてしまった」
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2702Y_X20C12A2SHA000/(日経)
こうして菅総理は、海江田経産大臣を振り払ってまでも、「原発ゼロ」の旗を掲げ、マスコミと一部世論の後押しのもと、自らの道を強引に推し進めていくことになります。