民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

◇浜岡原発の停止「思いつき?」「手柄の横取り?」

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菅首相浜岡原発の全原子炉運転停止を要請  2011/5/6

菅直人首相は6日夜の記者会見で「中部電力浜岡原子力発電所静岡県御前崎市)のすべての原子炉の運転停止を中電に要請した」と述べた。浜岡原発では4、5号機が現在稼働中。中電は定期点検中の3号機の運転を再開する可能性を示唆していた。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0603I_W1A500C1000000/(日経)

 日経新聞の記事の通り、菅総理は2011年5月6日に中部電力浜岡原発に運転停止を要請します。これにより、中部電力は5月9日に運転停止を決定、14日に全炉停止します。

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一国の総理と言えども、一企業の経営の根幹に関わるようなことに口を出すことに法的根拠がないと野党は反発しますが、菅総理は「結果として行政指導であり、私の政治判断だった」との認識です。行政指導には拘束力がありませんが、マスコミ報道、世論が停止に傾く中、中部電力は抵抗できなかった構図となりました。ここで池田信夫氏の説明をお借りします。

 行政手続法では、このような不利益処分を口頭の行政指導で行なうことを禁じ、その理由を文書で開示することを求めている。また処分の対象となる企業や個人に聴聞を行なうか抗弁の機会を与えることになっている。この基準で考えると、抗弁の機会も与えないで一方的に行われた菅氏の要請は違法であり、中部電力は行政手続法にもとづく異議申し立てをすべきだった。

しかし中部電力はこの要請を受諾し、浜岡原発を停止した。その直後に会長がカタールに飛んでLNGを調達したが、スポット価格は長期契約よりはるかに高いため、燃料費増で昨年度だけで2800億円の損失を出した。こうした燃料費の増加による損失は全国では昨年と今年で6兆円以上にのぼると推定され、福島第一原発事故の被害総額を上回る。

http://agora-web.jp/archives/1460090.htmlアゴラ)

池田氏はこう述べますが、福島原発以降、マスコミの報道の風向きもあって中部電力菅総理に逆らえる空気にはなかったでしょう。菅総理の反原発政策を後押ししたのは間違いなくマスコミです。 

この菅総理の決断に対する二つのレポートを紹介しましょう。

「思いつき」「手柄の横取り」菅総理の浅はかな面が丸出しだったようです。

雑誌SAPIOの町田徹氏と夕刊フジの鈴木哲夫氏の記事です。

その場しのぎの「浜岡原発停止要請」の大罪 菅総理は法治の根幹を揺るがしている 2011.5.10 町田 徹経済ジャーナリスト

 菅直人首相がまた、取り返しのつかない、その場しのぎの思いつきを表明してしまった。3つの原子炉が残る、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の運転停止要請が、それである。

 専門家の間で以前から、「福島原発よりも遥かに危険性が高い」とされていた浜岡原発津波リスクへの対応策を菅首相が打ち出したこと自体は、決して悪くない。むしろ、東日本大震災から2ヵ月近くの時間が過ぎており、遅過ぎた感の強い決断である。

 しかし、何の法的根拠も強制力もない「首相の要請」という形で、民間企業の経営の根幹を左右する方針を打ち出したことは、決して容認できるものではない。

 そもそも、首相の行為は、法体系を以って権力を律するという近代国家の統治の大原則のひとつである「法治主義」を侵す行為に他ならない。

 歴史的な政権交代以来、民主党政権は何度も、その場しのぎの発言や対応を繰り返し、国家と国民の利益を損ねてきた。

 今回の行為はそれらを上回る深刻な失態であり、菅首相は改めて、自ら、首相としての資質をまったく備えていないばかりか、市民としての基本的な常識を欠いていることを示したと言わざるを得ないのではないだろうか。・・・(略)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/4144週刊現代

 菅“卑劣”原発停止は手柄横取り! バカ丸出し会見で尻拭いも 2011.05.27 ★鈴木哲夫の核心リポート

東京電力福島第一原発1号機の海水注入を中断させた疑惑が深まっている菅直人首相。その“浅慮”がまた明らかになった。数少ない得点のひとつとされる中部電力浜岡原発の停止要請会見で、事の本質を十分理解しないまま、事実と異なる発表をしていたのだ。

浜岡原発停止は経済産業省が事前に綿密な根回しをしていたが、功名心に駆られた菅首相が手柄を横取りするように発表したため、軋轢を生んでいるという。20年以上、永田町や霞が関をウオッチしている政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が核心に迫った。

「分かった。あとはこっちでやるから」

5月6日、海江田万里経産相から浜岡原発停止の報告を受けた菅首相は、そう言って話を引き取ろうとした。

報告した海江田氏は、これまで時間をかけて、この問題の準備を進めていた。すでに自らの会見の文言もできあがりつつあった。不満を込めて言い返した。

「記者会見はこっちで準備しています。私の方でやるのがいいと…」

しかし、菅首相はまったく耳を貸さない。

「こっちでやる」

高揚した菅首相はその日の夜に緊急記者会見を行い、中部電に対して浜岡原発の停止を要請したことを発表した。

原発そのものに不安を抱く世論は、おおむね首相の行動を評価。「これこそ政治主導。しかも支持回復につながった」と首相側近は自画自賛した。

しかし、取材を進めると、そこには、おいしい話にはお構いなしに飛びつく菅首相の相変わらずの「場当たり」ぶりがあった。その証拠が、菅首相が会見で発した「87%の確率」という数字。海江田氏はその尻拭いに追われたが、地震の恐怖はいまだに独り歩きしている。

海江田氏や経産省浜岡原発停止について検討を始めたのは3月末。福島第1原発の事故対応で後手に回り、批判を受けている所管官庁として、何とかこれを挽回するための手立てだった。

ある経産官僚が経過を明かす。

「大臣から指示され、中部電力側とずっと下交渉を続けてきた。浜岡は国の耐震基準も満たしているし、震災のあとに指示した緊急安全対策にも対応していたから、『ただ止めろ』というのはいくら何でも理由がつかなかった」

そこで、5月5日に海江田氏自らが現地視察し、その後の停止の大義について、次のようなすり合わせをしていたのだ。

「会見では浜岡原発東海地震87%の確率に対しての備えは十分ある』と、まず中部電力側の対応を肯定する。そのうえで、『しかし、今回の(東日本大震災の)ような連動型地震による想定外の津波もある。特に、東海地震に東南海、南海地震が連動する事態に対しては想定していない。そこを、もう一度、検証するのでそれまで停止してほしい』という理由づけをすることにしていた。中部電力側も『それなら顔も立つし、止める大義もある』ということになっていた」(同)

▶あまりに思慮の浅い行動

ところが、ここぞとばかりに飛びついた菅首相は、こうした複雑なプロセスについて海江田氏や経産省から事情もまともに聞かず、高揚したまま会見に臨んだ。

結果、重要な部分を飛ばして、「浜岡で事故が発生すると日本社会全体に甚大な影響がある」という、浜岡の危険性をいっそう印象づけたのだ。

しかも、「文科省によると30年以内にM8の東海地震が発生する可能性は87%と切迫しているから、その対応が必要」と述べたが、実は87%は以前から公表されていた数字である。中部電にしてみれば、「政府の言う通り、今まで対策は十分やってきていたのに」とメンツを潰された格好になってしまった。

海江田氏が急きょ、同じ日に会見を開いて説明し直したのは、菅首相のこうした理解不足と言葉足らずをフォローするためだったのだ。

中部電力が臨時取締役会で一度決定を流したのは、菅首相への明らかな抗議。あの首相会見は『浜岡は危険』という認識を植え付けただけで、地元自治体も困惑している。住民は、首相が根拠とした87%という数字に振り回され、引っ越しを考えている人も増えている」(静岡選出国会議員)

トップの思慮があまりにも浅く、メッセージがあまりにも軽いことこそが「未曾有の危機」なのではないだろうか。

▶鈴木哲夫(すずき・てつお) 1958年、福岡県生まれ。早大卒。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、東京MXテレビ編集長などを経て、現在、日本BS放送報道局長。著書に「政党が操る選挙報道」(集英社新書)、「汚れ役」(講談社)など多数。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110526/plt1105261618004-n1.htmzakzak リンク切れ)

原発反対派からは「英断」と拍手が贈られます。マスコミも肯定的な報道でした。何より本人がご満悦、地方選敗退の暗いムードを吹き飛ばし、「反原発こそ我が道と」自分の延命の糸口をつかんだのです。

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