民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

◇東アジア共同体構想・APECにて

EUのような経済共同体を東アジアでつくろう。という鳩山氏の主張は、見た目はかっこいい理想の姿かもしれませんが、現実が全く考慮されていないお花畑であることは、明白でした。

政権交代確定直後の韓国メディア・中央日報の記事です。

鳩山代表「韓日関係発展に最善…過去史直視政権になる」 2009年09月05

  鳩山由紀夫民主党代表は 4日、権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日韓国大使と会って日本の韓半島強占など、過去史について「(次期政権は)歴史認識でも過去を直視できる政権になる」と述べた。

  鳩山代表は16日、日本の新しい総理に就任する予定だ。権大使によると、この日、東京民主党舎で権大使と会った鳩山代表は「韓国と日本は一番近い国」とし「韓日関係発展のために最善を尽くす」と明らかにした。

  権大使が「韓国の人々は鳩山代表の正しくて均衡の取れた、そして洗練された歴史認識についてよく知っている」と述べると、鳩山代表は「それが前(自民党)政権との違いだ」とし「友愛精神の下で韓日関係を両国間の関係だけではなく、多国間関係に発展させる」と述べた。自分が強調してきた東アジア共同体創設に韓日両国がともに努力しようという趣旨と解釈される。

https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=120154&sectcode=A10&servcode=A00中央日報

 当時、ネトウヨは、この首相は歴史観に関して、周辺各国の言い分に全て屈してしまうのではないかと警戒しました。中韓のメディアはこぞってルーピー鳩山首相の言動を好意的に取り上げ、それに対し鳩山首相が悦に入るという構図が続きましたから・・・。結果的に杞憂に終わりました。普天間問題で現実の厳しさに脳内お花畑がグルグル回ってわけがわからなくなってしまったようです。ほっ。

 

 さてルーピー鳩山首相は、オバマ大統領と「トラストミー」会談後、オバマ大統領を日本に残したままAPECへとシンガポールへ旅立ちました。

内心「辺野古はもういやっ!APECの晴れ舞台が待っているんだ。とっておきの『切り札』があるんだもん。これで世界の人気者だぜ。ルンルン」だったのでしょう。その『切り札』が「東アジア共同体構想」です。

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鳩山首相APECで自信満々に発表した「東アジア共同体構想」とは、どのようなものだったのでしょう?外務省のホームページから抜粋します。

鳩山総理によるアジア政策講演 アジアへの新しいコミットメント

-東アジア共同体構想の実現に向けて-(仮訳) 平成21年11月15

・・・(略)

3.東アジア共同体構想の推進

 日本の新政府は、アジア外交の重視を宣言します。

 そして、その柱になるのが東アジア共同体構想」です。

 

 私の東アジア共同体構想の思想的源流をたどれば、私自身が大切にしている「友愛(yu-ai)」思想に行き着きます。「友愛」は「博愛(fraternity)」と訳されることもありますが、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方のことです。「自立と共生」の思想と言ってもよいでしょう。

 私は政治家になって以来、「日本と他のアジア諸国、より広くはアジア・太平洋諸国相互の間に、友愛の絆をつくりあげることはできないものか」と考えてきました。と言うのも、この地域では、ほかならぬ日本が、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた後、60年以上がたった今もなお、真の和解が達成されたとは必ずしも考えられていないからです。

 目を欧州に転じれば、悲惨な二度の大戦を経て、それまで憎みあっていた独仏両国は、石炭や鉄鋼の共同管理をはじめとした協力を積み重ねました。さらに国民相互間の交流を深めた結果、事実上の不戦共同体が成立したのです。独仏を中心にした動きは紆余曲折を経ながらその後も続き、今日のEUへと連なりました。この欧州での和解と協力の経験こそが、私の構想の原型になっています。

 すなわち、私の東アジア共同体構想は、「開かれた地域協力」の原則に基づきながら、関係国が様々な分野で協力を進めることにより、この地域に機能的な共同体の網を幾重にも張りめぐらせよう、という考え方です。後で述べるように、貿易、投資、金融、教育など、広範な分野で協力を具体的に進めることを、何よりも重視します。

 協力の過程で我々は、みんなでルールを決め、みんなで協働し、みんなで知恵を出し合い、みんなでルールを守るようになります。その結果、現実の利益が得られるだけでなく、相互信頼の感情が育まれることも期待されます。

 ここで私の考える協力の例をあげれば、以下のようなものがあります。

第一は、共に繁栄するための協力です。

 欧州の例をみても、ASEANの例をみても、経済関係の進展は、原則的には協力を惹起します。そして、この地域の経済連携を共通のルールに則って促進する有力な手段が、EPA/FTAです。

 日本は現在、東南アジア地域の7カ国およびASEAN全体との間など、10カ国1地域との間でEPAを締結しています。しかし、これでは「日本を開く」と言うには不十分です。今後は韓国、インド、豪州との間でEPA交渉を加速するほか、それ以外の国とのEPA交渉の可能性も追求していきます。また、 ASEAN+6による「CEPEA」やAPECの「FTAAP」の議論には積極的に参加します。

第二は、緑のアジアを守るための協力です。

 この地球上に気候変動の脅威から逃れられる国はありません。

 日本は、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の合意を前提として、2020年までに温室効果ガスを1990年比で言えば25%削減するという目標を掲げています。我々の子孫のためにも、現在交渉中のCOP15は、是非とも成功させなければなりません。

 従来型の成長は皆さんを幸せにしないし、持続不可能であることを、我々は知っています。日本も高度成長期には、ひどい大気汚染や環境破壊を経験しました。現にアジアの各地で、河川が汚れ、マングローブの林が失われています。

 私は心から願います。途上国の皆さんが、気候変動問題で「共通だが差異のある責任」の下、温室効果ガスの削減を掲げる一方、日本企業の持つ、すぐれた省エネ技術、スマートグリッド・システム、水浄化技術などを活用することにより、「持続可能な成長」を実現してもらいたい、と。

 第三は、いのちを守るための協力です。

 アジアで自然災害によって亡くなった方の数は、2007年までの30年間で130万人を超えます。SARS鳥インフルエンザ新型インフルエンザなどの感染症も、国境を越えて猛威を振るいます。この地域では、自然災害や感染症は戦争を上回る、人間の安全保障上の課題である、と言っても過言ではありません。

 阪神・淡路、スマトラ、ジャワなどの大地震、繰り返し来襲するモンスーンや台風の被害――、大規模災害が起こるたびに、我々は、助け、助けられてきました。NGOやボランティアの人たちの献身する姿も、私の瞼に焼き付いています。我々はもっともっと、助け合おうではありませんか?

 各国の政府機関などに援助のための人的・物的アセットを事前登録してもらい、災害発生時に円滑に救助活動ができるようにするなど、防災のための新たな枠組み作りに向けて、日本は積極的に貢献していきます。

 衛生面では、日本は来年、自衛艦を『友愛ボート』と名付けて民間人やNGOの人たちも乗せ、太平洋・東南アジア地域で医療活動や文化交流などを行います。これは米国が2007年から行っている「パシフィック・パートナーシップ」への参加となります。米国、豪州、インドネシアなどと共に働き、現地の人々の役に立てることを期待しています。

 第四は、「友愛の海」をつくるための協力です。

 この地域は様々な海でつながり、交易の相当部分も海を通じて行われます。この海を「友愛の海」にすることは、地域全体に平和と繁栄をもたらすことにほかなりません。多国間の共同作業という前提で言うなら、周囲を海で囲まれた海国・日本には、海の平和を守るためのノウハウとアセットがあります。

 例えば、我々は海賊対策でもっと協力することができます。マラッカ海峡を含む東南アジアで実施されている域内の協力は多くの国にとってモデルとなっており、これを他の地域に拡大してはどうでしょう。また、ソマリア沖では、日・米・中・韓・豪・印・マレーシア・シンガポールなど、多くのアジア太平洋諸国が海賊対処活動に従事しています。この方面でも、我々はもっと連携できるはずです。

 東アジア地域では、海の事故防止や緊張緩和を進めるための共通の取り組みがまだまだ遅れています。海難事故の際の捜索救助協定を締結するなど、各国間で具体的な協力を進めることが大切です。

 我々にできる協力の分野は、これらにとどまりません。核軍縮・核不拡散、文化交流、社会保障、都市問題もあるでしょう。将来的には、政治的な協力について話し合うこともありえます。

 また、ある分野で協力する意志と能力を持つ国々が先行して参加し、その協力が成果をあげるに従ってメンバーが増える、といったケースも考えられます。

 いかがでしょうか、皆さん? 本日、私の説明を聞いてなお、「鳩山構想の中では、誰が共同体のメンバーになるのか」と質問されますか?

 私の答は--、理想と夢を共にする人々--です。

・・・(略)

http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/200911/15singapore.html(官邸)

 

どうでしょう、いかにもルーピーな抽象的な言葉がならび、自分の言葉に酔っていることが伺えます。

JETROがこの時の各国の反応として、鳩山首相の「東アジア共同体」とオーストラリアのケビン・ラッド総理が8年6月に提唱した「アジア太平洋共同体」がライバル関係にあることに注目しています。

JETRO 鳩山総理提唱「東アジア共同体」構想の反響(2009年11月)

 https://www.jetro.go.jp/world/reports/2009/07000136.htmlJETRO

 

しかしライバル関係なんておこがましいです。ルーピーの脳内お花畑の構想が、現実的な「アジア太平洋共同体」に勝てるわけがありません。鳩山氏は自信満々、自己陶酔していても、世界の評価は芳しくないというか、夢物語として相手にされなかったと感じられます。

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