民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

■TPP交渉参加方針表明

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野田総理は、この年2011年ののAPEC首脳会議に向けてTPP交渉参加の方針を発表します。朝日新聞です。

野田首相、TPP交渉参加の方針表明 2011年11月11

 野田佳彦首相は11日、首相官邸で記者会見し、環太平洋経済連携協定(TPP)について「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と述べ、参加国との事前協議から始まる交渉プロセスに参加する方針を表明した。首相は12日からハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議で、オバマ米大統領らTPPの関係各国首脳と会談し、交渉参加の方針を伝える。

 TPP交渉に正式参加するには、すでに交渉入りした米国など9カ国と事前協議を行い、それぞれ承認を得る必要がある。日本が各国と本格交渉を始めるのは、早くても来年春以降とみられる。首相が「交渉参加に向けた協議」と表現し、事前協議を強調したのは、民主党内の反対派に配慮した面もある。

 首相は会見で、農業や医療などの分野でTPP参加に反対する声が強いことを念頭に「世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村、そうしたものは断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築を実現する決意だ」と強調。こうした懸念に配慮する姿勢をみせた。

 一方で「貿易立国として活力ある社会を発展させていくためには、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかねばならない」と述べ、交渉参加の意義を訴えた。その上で、首相は「関係各国との協議を開始し、さらなる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上でTPPについての結論を得ていく」と強調した。

 また、首相は農業対策について、10月に政権がまとめた農林漁業の再生に向けた基本方針・行動計画を踏まえて「規模の集約化や6次産業化などを5年間で集中的に行っていく。それに基づいて必要な予算を措置する」と述べ、交渉参加と農業再生の両立を図る考えを示した。

 首相は関係国との協議について「国益を最大限実現するプロセスの第一歩だ」と主張。昨年11月に菅前政権が「情報収集のための協議」としたTPP参加国との交流について、首相は「さらに歩みを前に出す」と位置づけた。

 一方、慎重派の鹿野道彦農林水産相は11日夜、記者団に「総理は『参加表明』とはおっしゃらなかった。交渉参加を前提とするものではないと理解している」と指摘。首相の表明が交渉参加にはつながらないとの認識を示した。

http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201111110508.html(朝日)

野田総理は、このようにTPPへの交渉へ前向きな発表をしましたが、党内には根強い反対派が火種として残っており、解散総選挙の臭いがし始めると、自分自身の票を心配して動き始めます。特に小沢グループである元農林水産大臣の山田氏が小沢氏離党の際に党を離れず残り、反対派の中心的存在になっていました。解散間近2012年11月の日経の記事です。

解散・TPPで民主大揺れ 反対派「野田降ろし」 2012/11/10

野田佳彦首相が年内の衆院解散・総選挙を探り始めたことで、解散を巡る民主党内の綱引きが激しくなってきた。大きな争点の一つは環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加への賛否。党内の解散慎重派は「野田降ろし」を探り、TPP交渉参加に対して集団離党も辞さない構えで反発する。民主党は党内政局の行方次第で再び分裂する可能性もはらんでいる。

「TPP参加を認めない人は党を出ていけということか」。山田正彦元農相らTPP反対派が9日に国会内で開いた会合では、交渉参加を批判する声が相次いだ。

反対派は「首相が参加表明すれば10人程度は離党する」とけん制する。与党はあと6人離党すれば過半数割れし、少数与党に転落する。野党が内閣不信任決議案を提出すれば可決しかねず、政権運営は危機に陥る。

これに先立ち、山田氏は国会内に輿石東幹事長を訪ねた。輿石氏は「交渉参加の意向を政府が固めた事実はない」と不快感を表明。山田氏によると、輿石氏は「今、衆院選をすれば民主党には50~60人しか残らないだろう」と語り、年内解散に否定的だったという。

「年内解散を考えているのは首相に近い一部の議員だけだ」。党内からは9日、こんな声も出た。首相を支持してきた議員の中にも「野田首相では衆院選は戦えない」として、新たな「選挙の顔」を探る動きがある。

9日昼に首相と公邸で会食した参院の各委員長らは「TPPの交渉参加を表明した直後に年内解散を検討するという話はどこから出たのか。言われっ放しでなく反論してほしい」とただした。首相は「私も驚いている」と答え反論しなかった。

首相はTPPを次期衆院選の争点にできないか検討している。年内を視野に入れる衆院解散と合わせ、交渉参加を表明する時機を探る。TPPに慎重な自民党との違いを打ち出し、改革色を明確にする作戦だ。

首相が衆院解散に向けた3条件に位置づけた課題のうち、赤字国債発行法案については成立のメドがついたが、衆院選挙制度改革関連法案に関しては不透明感が漂う。

解散時期は「自分で判断する」とする首相。TPP交渉参加も含め、決断の時が迫っている。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS09038_Z01C12A1EA2000/(日経)

 この記事の6日後の11月16日に解散総選挙が決定すると、多くの反対派議員は離党して泥船から逃れようとします。「TPP賛成の民主党に残っていては、自分が落選してしまう」との危機感が現実のものとなったのです。菅総理のおきみやげの時限爆弾が爆発しました。

ただ、来る総選挙は民主党政治の3年3か月が問われる選挙となり、TPPは表立った争点とはなりませんでした。TPP参加の問題は、来るべき安倍政権にまで持ち越されることになります。

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