民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

◇無駄になった訓練

「原子炉給水系の故障により原子炉水位が低下し原子炉が自動停止、その後の非常用炉心冷却装置等複数の設備故障により万一放射性物質が放出された場合、その影響が発電所周辺地域に及ぶおそれがあるとの想定」

2010年10月20・21日、東日本大震災のほんの半年前に官邸で行われた「原子力総合防災訓練」の事故想定です。今回の福島第一原発と同様の想定で訓練が行われていたのでした。それもたった半年前です。しかし菅総理は、何も覚えていなかったのです。

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その時の模様が首相官邸のホームページにしっかり残っています。

https://www.kantei.go.jp/jp/kan/actions/201010/21kunren_genshiryoku.html(官邸)

国会で自民党脇雅史(参・比例区)との質疑応答です。国会議事録です。

20110418日 参議院予算委員会

脇雅史 去年の十月二十日でございますが、二十二年の十月二十日、二十一、非常に大事な催しがあったわけですが、このことは御記憶ですか、総理。

内閣総理大臣菅直人君) 突然の御質問ですので、何を指されているか分かりません。

脇雅史 実は、この日は原子力総合防災訓練というのをやっていらっしゃるんですね。これは本部長として菅内閣総理大臣、私がいただいたこの紙には書いてあります。二十日、二十一と総合防災訓練をされていた。そのときに、どういうテーマで訓練されたか覚えていらっしゃいますか。

内閣総理大臣菅直人君) 詳しい内容については記憶しておりませんが、やはりこうしたいろいろな地震等を想定したことではなかったかと思っております。

脇雅史 またあきれちゃうんですけど、これ大変なことですよ。

 私、やっぱり日本の国、大したものだと思うんですが、ちゃんと訓練しているんですね。

その訓練に事故の想定という項目があるんですが、

原子炉給水系の故障により原子炉水位が低下し原子炉が自動停止、その後の非常用炉心冷却装置等複数の設備故障により万一放射性物質が放出された場合、その影響が発電所周辺地域に及ぶおそれがあるとの想定と、まさに今回と同じことを想定しているんじゃないですか。

そのことについて何の記憶もないんですか。何のための訓練だったんですか。あなたが本部長として参加されているんですよ。本当に覚えてない。どうぞ。

内閣総理大臣菅直人) 少なくとも私にとって、そうした原子力のいろいろな事故は、過去においても海外においても多くありましたし、日本では臨界事故というものが最も大きかったわけでありますから、そういった意味で一般的な認識は持っておりましたし、そういう想定に立ってのそうした訓練が行われたということは御指摘のとおりだと思っております。

脇雅史君 政府が総理までお入りになった訓練をやるということの意味が全くないですね。せっかくこういうことを想定してやっているのに、何も動いてないじゃないですか。経産大臣、覚えていらっしゃいますか。そのときは大畠さんだけど。

国務大臣海江田万里君) 脇委員にお答えをいたします。

 昨年の十月でございますね。私は経産大臣ではございませんでしたので、申し訳ございませんが、覚えておりません。

脇雅史 大畠さんにお願いします。

国務大臣大畠章宏君) お答えを申し上げます。

 この浜岡での原子力事故の対策については覚えております。

脇雅史 あったことだけ覚えていたって意味がないので。

 またまた驚くべきことがあるんですが、さっき総理は余り法律とか計画、目を通されていないというお話でしたが、防災基本計画というのは国家として持っているんですね、きちんと。マニュアルです。いろんなときにどうしたらいいかと決める。その防災基本計画の中にも、原子力の訓練はしっかりやらねばならぬと書いてあるんですね。その中に何と書いてあるかと。訓練をしたら、その訓練の結果、様々な検討をして、専門家の意見も聞いて、変えるべきことがあったら変えなさい、きっちりやりなさいと書いてあるんですよ。

 その報告どうなっていますか、海江田さん。これは今の大臣の責任だよ。

国務大臣海江田万里君) その昨年の十月のことについて、それがどういう報告がなされたかということは、申し訳ございませんが、私は承知しておりません。

脇雅史 実はまとまっていないんですよ、驚くべきことに。取りまとめ中と書いてあるんだけれども、私は本当にあきれているんですよ。今度の様々な行動も、こういう基本的な対応があるからこれだけ膨らんでしまったんですよ。必ずしも、初めてのことだし、大変なことが起こったと思う、全部が皆さん方、今の政府が悪いとまでは言わないけれども、しかし少なくとも、この訓練の結果を見る限り、全くやる気がない

政権交代政権交代と叫ばれていましたけれども、政権交代をするというのはそういうことを全て引き受けるんです、そういう責任をね。

その努力が何にもなされていないということに、私は本当にあきれています。

 深刻に反省すべきですよ。どうですか、総理。

内閣総理大臣菅直人君) 率直に申し上げて、そういう御指摘そのものには十分反省をしなければならないと思っております。と同時に、総理という役割はまさに森羅万象のことに対して対応しなければなりませんので、それぞれの役割が内閣全体としてはあるわけでありますから、私が細かいところまで全てを知っているかと言われれば、率直に申し上げて、そこまでは承知をしていない。

 ただ、先ほど来申し上げておりますように、この原子力災害特別措置法ができたベースになったあの臨界事故の問題とかチェルノブイリとか、そういった問題については私なりに知見を持っている、このように考えております。

脇雅史 さっき私申し上げましたが、国家の一大事、総理が一番果たさなければいけない危機管理対応、まさに武力行使やこういう原子力事故というのは想定しておかなくちゃいけないし、原点になる国の防災基本計画の中にもそういうことのために訓練をやりましょうと、毎年やりましょうとずっとやっているんですよ。毎年やってきて、その都度、問題があったら直しましょうと、そういう努力を積み重ねて初めて危機管理なんかできるのであって、そのときになって考えて泥縄なんかやったって駄目なんですよ。

しかも、それを聞いても真摯に反省しないでまだ言い逃れしている。

 もうこれは明らかに政府の間違いですよ。申し訳なかったと国民に頭を下げるべきであって、言い訳なんかしている場合ではないんです。その真摯な対応が見られないからあなたという人間がリーダーシップがないと見られるんですよ。きちんと国民にこの件について謝ったらどうですか。

内閣総理大臣菅直人君) 私は、この問題について、こういう事故になってしまって多くの皆さんに大変な御不便、御迷惑を掛けていることについては本当に心から行政の責任者として謝らなければならない、謝ってきているところであります。

 そのことと、今回の事故に対してどのような対応が必要であったかということでこの間やってきたことについて、私は、やらなければならないことについて、考えられることについては、私なりに考えられること、あるいは私の内閣なりにやれることについては全力を尽くしてやってきたということも併せて申し上げたいと思います。

脇雅史君 余り言い訳はしない方がいいので、やっぱりそういうことを想定をしてきちんと訓練をしておけば、もう少しましな対応ができたかもしれないと。そのことには真摯に反省を促しておきます。 

民主党にとって訓練なんていうものは、お仕事、儀礼でしかないようです。国を担うという緊張感も責任感も微塵もお持ちではないようです。この時の訓練が活かされていたら、初動が違ったかもしれません。現地視察なんてできなかったはずです。

「暖簾に腕押し」、「猫に小判」、そして「馬鹿に訓練」。無能な議員に、意識が低い議員に、何を訓練しても無駄だということです。

追記)2019年に安倍総理が発言して話題となった「森羅万象」という言葉を菅総理がここで使っています。「私なりの知見」という諫早干拓地問題で使った言葉も出てきていますね。無能な人間の語る「私なり」には何の意味もないということがよくわかります。

 

2008年には麻生政権が福島第一原発で訓練を行っています。映像が残っています。緊張感が全く異なっています。

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