民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

◇sengoku38氏の正体

さて、犯人捜しのスタートです。

2010年11月9日YouTubeを運営するGoogle日本法人から差し押さえたアクセスログより、投稿は神戸市内のネットカフェから行われたことが判明します。。

2010年11月10日神戸市にある第5管区海上保安本部の海上保安官が流出させたことを上司に名乗り出て出頭します。三等海上保安正一色正春氏でした。

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ネットでは英雄扱いです。わたしも今でも英雄だと尊敬しています。

内部告発と言えば、元文部科学事務次官前川喜平氏が,マスコミにもてはやされていますが、その志は雲泥の差。中国土下座の菅・仙谷体制に一泡吹かせただけでなく、中国人の恐ろしさを国民に伝え警戒感を植え付け、海上保安庁自衛隊の皆さんが命を賭けて国を守る仕事をしていることを伝えた英雄です。

片や天下りあっせんで辞めさせられたのを恨みに持ち、安倍政権憎しで怪しい書類を出してきたデートクラブ通いの前川氏とは比べることすら失礼です。

ただ、橋下徹氏はこう述べます。

【海保職員「流出」】橋下知事「公務員は政治家に従うべきだ」2010.11.11

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐる映像流出事件で、海上保安庁に対して「自分が流出させた」と説明した神戸海上保安部(神戸市中央区)の海上保安官について、大阪府橋下徹知事は11日、東京都内で報道陣の取材に対し「本人には気の毒だが、公務員は政治家の決定に従うべきだ」と述べた。

 橋下知事は「僕はどういう理由があったとしても、公務員が政治家の決定に従わなくてはならないと思う。そこが崩れたら政治行政は成り立たない」と指摘。「非公表を決めた責任は民主党政権が取るべきだ。そうした大きな判断も公務員に委ねると、政治が回らなくなる」と語った。

 また「あえていうなら、なぜ、メディアが取材して報じなかったのかと思う」とも言及した。

https://web.archive.org/web/20101114121820/http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101111/crm1011112050038-n1.htm(産経・アーカイブ

橋下氏の言は仰る通りなのです。一色氏は犯罪者として裁かれる必要はあります。しかし英雄か英雄でないかは別の価値基準です。ネトウヨにとっては間違いなく英雄です。しかし官邸・マスコミにとっては、中国との関係を毀損し、政権を危機に陥れる憎きテロリストなのでしょう。

朝日新聞の記事に関するWikipediaの記述です。

2010年11月11日の社説では「政府の高度な判断を、一職員が独自の考えで無意味なものにしてしまっては行政は立ちゆかない」とし、17日の社説でも「保安官の行為を支持する声が一部に広がっている」とした上で「これはおかしい。政府の方針が自分の考えと違うからといって現場の公務員が勝手に情報を外に流し始めたら国の運営はどうなるか」「保安官の行いは法律で保護される内部告発の要件を満たしてもいない。称賛したり英雄視したりするのは間違いだし、危険なこと甚だしい」「まだ真相が見えない。捜査を尽くし事実を解明する、それがネット時代の情報の公開や保全のあり方について冷静な議論を進めることに繋がる」とした。

 

11月11日一色氏が少しずつ経緯を話し始め、報道されるようになりました。海上保安庁の情報管理にも問題はありそうですが、内部では共有され、実質的には秘密扱いされていなかったということもわかります。朝日新聞からです。

ビデオ映像、海保内に拡散か 情報共有の慣行が裏目に 2010.11.11

 「映像は船上のパソコンで、職員ならほぼ誰でも見ることができた」。尖閣事件のビデオ映像が流出した事件で、神戸海上保安部(神戸市)の男性海上保安官(43)が捜査当局の事情聴取に答えたことで、問題の映像が広範囲に流布していた疑いが出てきた。「捜査資料」が厳格に管理されなかったのはなぜか。海保内で事件や事故の映像や資料を「共有」し、職務に役立ててきた慣行が裏目に出た。・・・(略)

http://www.asahi.com/special/senkaku/TKY201011110554.html(朝日)

11月13日一色氏が下記のような談話を出します。エスカレートするマスコミを避けるために庁舎に閉じこもっています。読売新聞です。

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件で、神戸海上保安部の主任航海士(43)は、12日も5管本部が入る庁舎に宿泊。

 13日午前0時頃、同本部を通じて、「世間をお騒がせしたこと、多くの人々に多大なるご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げます」との談話を出した。

 3日続けて宿泊する理由については「私の意志」とし、「この建物を出たならば、さらに、多大なる迷惑を多くの人々にかけてしまう。過熱した報道を少しは控えてください」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101113-OYT1T00101.htm(読売・リンク切れ)

一色氏は、一度はマスコミ・CNNに映像データをSDカードで送りました。

CNNはこの件に関し、ウィルスの恐れなどセキュリティの問題からカードを廃棄したとしていますが、ちょっと怪しいですね。何らかの情報統制がかかった可能性が否定できません。スクープの可能性もある映像を見もせずに廃棄するって・・・。

一色氏がCNNを選んだのも興味深いです。日本のマスコミは信用できなかったってことですか?

しかし放送されなかったために、一色氏はYouTubeへの投稿に踏み切ったのでした。日経新聞です。

尖閣映像、保安官「CNNに郵送」 放送されず「流出」決意か 2010/11/25

中国漁船衝突の映像流出事件で、第5管区海上保安本部(神戸市)の海上保安官(43)が捜査当局の任意聴取に、映像を記録した外部記憶媒体のSDカードを米CNNテレビの東京支局(東京・港)に郵送したという趣旨の内容を話していることが25日、捜査関係者への取材で分かった。

郵送した時期は、動画サイト「ユーチューブ」に投稿した今月4日の直前だったと説明。また、CNNが映像を放送しなかったため投稿を決めたとも話しており、捜査当局は、海上保安官が映像の流出を強い意志で計画していたとみて裏付けを急いでいる。

捜査関係者によると、海上保安官は10月下旬から11月初めの間、映像データを保存したSDカードを封筒に入れて、CNN東京支局に郵送した、と説明している。CNN側はカード内容を説明する文書が同封されておらず、ウイルスに感染する危険があると判断、カードを廃棄したという。

https://www.nikkei.com/article/DGXDASDG2501G_V21C10A1CC0000/(日経)

その後12月18日一色氏は、海上保安庁に退職願を提出しますが、海上保安庁は「退職願を受理せず懲戒免職または懲戒停職にする」としています。

12月22日には警視庁が国家公務員法守秘義務違反容疑で一色氏を東京地検書類送検します。また海上保安庁は、「一色氏を停職12カ月、保安官の上司に当たる本部長に訓戒、長官ら23人に減給などの処分を行う」と発表します。一方、一色氏が提出した退職願は受理されました。

2011年1月21日 一色氏は起訴猶予となります。あわせて衝突事件を起こした中国人船長も起訴猶予です。

一色氏が使ったsengoku38の意味については、ネットで様々な推測がされています。本人の口からは出てないようですね。ここでは深く追求しません。

さて、一色氏のその後の動向ですが、日刊ゲンダイのサイトにわかりやすい記事が載っていたので紹介したいと思います。政界に進出かとの噂も飛びましたが、ひっそりと暮らしているようです。それはそれでかっこいいように思います。

「あれがすべて」尖閣事件“sengoku38”こと一色正春氏は今  2018/04/25

民主党政権時代の2010年秋、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突する動画が拡散される騒動があった。この映像を神戸市内のインターネットカフェから拡散させたのが、一色正春氏だった。

 一色氏は、本来、大勢の目に触れるはずのないこの動画をネット上に拡散させる際に、「sengoku38」と名乗った。当時の官房長官仙谷由人氏にかけてのネーミングかと騒がれたが、やがて動画を流出させた当事者が判明、神戸の第5管区海上保安本部所属の現役海上保安官だったことが明らかになる。

 第5管区海上保安本部に勤務していた関係者が当時を振り返る。

「動画が流出してすぐ、うちの人間だと思いました。もちろんそれが誰かは分かりません。なかには『よくやった』という声もありましたね。でも、うちの管区の者だと分かってからは、そんな空気も一変しました。こういう組織です。騒動に巻き込まれることを嫌いますからね」

関係者によると、「動画を流出させたのは自分だ」と名乗り出た一色氏は、その日から国家公務員法違反の疑いで任意での事情聴取が行われた。

「あくまでも任意での取り調べです。特に厳しく調べたわけではないはずです。仲間を調べるのですから、むしろ、取調官のほうがプレッシャーがかかったでしょうね」(第5管区本部関係者)

 一部からは“英雄”扱いされた一色氏だが、国家公務員法違反容疑で書類送検された。その後、検察は起訴を猶予し、事件は終結している。

 海上保安官としては停職12カ月の処分を受けるが、処分日に辞職。一民間人となった

 一色氏は辞職にあたり、「政治的意図はなく、私利私欲に基づくものではない」と強調。一連の行動について後悔はしてないと話していたという。

 一海上保安官から“取り調べられる立場”へ。そして一部からの“国士”としての扱い――。辞職後は時折、メディアに寄稿しているのを目にする。その一色氏にコンタクトを取ってみた。

「やったこと、あれが全てです。とくにお話しすることはありません」

 自信に満ちた声で応えるが、それ以上は、いくら食い下がっても、「いいです(結構です)」と繰り返すだけ。

「あの人は今、みたいで、嫌です」

 ついぞ詳細を語ることはなかった。

たこ焼き屋をしている?

「辞職後はメディアへの寄稿や講演をされていると聞いています。それ以外にも自営業というか、お店をされていると聞いています。実際、辞職時に彼は『たこ焼き屋さんをする』と話していたそうです。店の名前は『takoyaki38』にするという本気とも冗談ともつかない話も耳にしました」(第5管区関係者)

 辞職後は「中国の狙いは尖閣だけではない」という論文で、アパグループ第5回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を受賞。著書に「何かのためにsengoku38の告白」(朝日新聞出版)などがある。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/227871(ゲンダイ)

追記)一色氏が3年後にメディアへの不審を語った記事がありました。

ironna.jp

冒頭部分です。全体は少し長いですが、日本のマスコミについてその酷い状況がよくわかります。一読をお勧めします。

「事実」と「報道」との乖離

 平成22年11月4日を境に私のメディアに対する認識は一変しました。なぜそうなったかと言いますと、それまでは一視聴者であり一読者であった私の言動が、その日を境にテレビ画面や新聞紙面を賑わすようになったことで「本当の事実」と「事実として報道されるもの」との間に乖離があることを知り、メディア報道の真実が何たるかを肌で実感したからです。無論、これをもってメディア全てが分かったなどと大上段に振りかぶるつもりはありませんが、少なくとも、稀な経験をした者としての視点からメディアを語ることはできるようになりました。今回、それが一人でも多くの読者のリテラシー向上に寄与するのであればと思い筆を執った次第です。・・・(略)

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