自身の政治資金問題、普天間の迷走、小沢氏のカネ・・・。鳩山政権は崩れゆく一方となります。内閣支持率は、政権交代当初70%を越えていましたが、2010年5月末で19.1%まで下落(共同通信)します。参院選を控えて党内からも「これでは戦えない。」との声が大勢をしめるのは当然の流れです。鳩山氏のクビをすげ替えてフレッシュなイメージに、ダーティーな小沢氏をバッサリ切り捨てクリーンなイメージで、あの政権交代の時のようにイメージ刷新したということを国民に印象付けたいとの思惑が渦巻いていたことでしょう。5月28日の社民党の政権離脱を受けて、一気に鳩山政権は崩壊へと向かいます。
6月2日、鳩山総理は辞意を表明。同時に小沢幹事長も辞任に追い込まれます。その時の様子を週刊現代が興味深く伝えています。
小鳩退場! 鳩山最後に「小沢をひと刺し」民主政権大崩壊、そして第2幕へ
内幕ドキュメント 本当は虫唾が走るほど大嫌いだった 2010.6.14鳩山政権は、あっけなく潰えた。国政を混乱させた宇宙人は、最後に大幹事長に意趣返しをして退場し、リリーフで登場したのは、菅直人。"イラ菅"は救世主たりえるのか。
鳩山由紀夫首相より2分遅れて会場に到着した小沢一郎幹事長は、歩きながら目をぎゅっと瞑り、一瞬、苦渋の表情を浮かべた。
身内の民主党議員を前に辞意表明はしたが、公式の辞任会見は拒否した
6月2日の民主党両院議員総会。小沢氏は早足で自分の席に近づくと、「ここでいいのか?」と短く周囲を見回しただけで、隣の鳩山首相とは、目を合わせることもなく着席した。
実はこの両院議員総会で、鳩山首相は自分が何をどう語るのか、事前に小沢氏には伝えていなかったという。
そして、鳩山首相は最後の土壇場で、小沢氏をトラップに嵌めたのだ。自らの辞意を表明すると同時に、こう宣言した。
「幹事長にも職を辞していただきたい。そうすれば、よりクリーンな民主党を作ることができる。民主党を再生させるため、とことん、クリーンな民主党に戻そうじゃありませんか」
鳩山首相の呼びかけに、民主党議員は拍手喝采で応えた。この時点で、鳩山首相と小沢幹事長の「同時辞任」が決まった。満座の前で小沢氏の辞任を宣言し、認められたことで、あわよくば幹事長職を守ろうとしていた小沢氏とその側近の、逃げ道を完全に断った。鳩山首相は自らのクビと引き換えに、剛腕・小沢を、一瞬にして封じ込めたのだ。
それだけではない。鳩山首相は、北海道教職員組合の政治資金規正法違反事件で責任を問われる、小林千代美代議士にも辞職を促した。これは小沢氏の側近であり、小林氏同様、日教組を支持母体とする輿石東(こしいしあずま)・参院議員会長に対する、強烈な当てこすりだ。
輿石氏は、地元・山梨での評判が芳しくなく、次の参院選では落選の危機に陥っている。小林氏の失脚は、輿石氏の支持基盤にも大きなダメージとなる。鳩山首相は小沢氏のみならず、その最側近の手足も、ただ一言で縛り上げたのだ。
いったいなぜ、鳩山首相は最後の最後に、こんな悪意に満ちた大芝居を打ったのか。本来、幹事長ほどの要職者の辞任は、幹事長自らが正式な場を設定して公表すべき問題だ。しかし、鳩山首相はそれを分かった上で、あえて小沢氏に、自分で止めを刺した。
満座の中で「ともに辞職」と公言され、小沢氏の表情は終始、渋かった
そこに垣間見えるのは、鳩山首相の小沢氏に対する、激しい怒りと恨みである。そもそも鳩山首相と小沢氏は、生まれも育ちも、まるで異なる水と油の関係。それが、自民党から政権を奪取し、民主党政権を維持する、ただそれだけのために手を結んできた。
しかし、その危うい表層的な関係は、鳩山政権が終焉を迎えるにあたり、ついに決裂した。鳩山首相は、自らを退陣に追い込んだ、小沢氏とその一味を赦すことができなかったのだ。
これまで我慢をしてきたが、名門生まれの鳩山首相にとって、小沢氏は、理想も理念もない、利権好きの"選挙屋"に過ぎない---。テレビカメラの向こうで全国民が見守る中、鳩山氏は小沢氏を「汚い政治家」と名指しし、政権の表舞台から葬り去ったのである。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/687(週刊現代)
鳩山氏は、小沢氏のことを心底毛嫌いしていたようです。小沢氏も鳩山氏のことを利用するに値するだけで好意を持ってはいなかったでしょう。全く違うタイプのお金持ちの政治家が、権力をもてあそんで、国民を混乱に陥れたのが鳩山政権だったのです。
一方、次の選挙で禊を受ける輿石東氏は、こう述べています。日本経済新聞の記事です。
鳩山おろし、賭けだった 2015/10/4
輿石東・前民主党参院議員会長 参院選を控え、ここまで党内で辞任論が出てくればダメだな、と思っていた。いつどういうタイミングで決断するかを誤ると効果はなくなる。『鳩山おろし』は賭けだった。あのタイミングでの辞任は間違っていないと今も思っている。参院選も何とかいけると確信していた。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO92434440T01C15A0TZJ000/(日経)
輿石氏は、民主党の中でも自分自身の参院選のために何としても「鳩山おろし」を実現せねばと必死になっていた筆頭で、その気持ちが現れている発言です。
こうして国民の大きな期待を背景に生まれた鳩山政権はこの日総辞職、1年も持たずに終局を迎えます。何をさせても場当たり的、その場しのぎの言動で、国民を翻弄し、誰も責任をとらない政権が機能するはずはありません。
「国民の皆さんが徐々に徐々に効く耳を持たなくなってきてしまった。」
僕が悪いんじゃい。国民が聞いてくれないのが悪いんだ。と人のせいにしています。
「一度やらせてみたい」と思って投票したあなた、次回からは。国のこと国民のことを考えている人を選びましょう。民主党政権になったバラ色の日本が来ると煽ったマスコミのみなさま、自らのジャーナリストとしての洞察力がなかったことを恥じるべきだと思いますが、そんな方は全く存在しないようです。マスコミも野党と同じ、責任を取らない人種ですから・・・。
余談ですが、「もうこの政権はもたない」と感じた5月中旬くらいから、私は鳩山氏が自殺するのではないかと本気で心配していました。民主党が次の参議院選を本気で勝つことを考えるのなら、それしか方法がない!あの民主党だったら、それくらいのことやりかねない!と思っていたのです。当人にその気がなくても、あの政権の周辺では疑惑の死が渦巻いていましたから・・・。これが現実にならず、参議院選で民主党が破れ、ねじれ国会になった時には、ホッとしたものでした。