民主党政権3年3か月の研究

悪夢でした。二度と政権をとらせてはいけません。だから記録します。

◇荒れた強行採決②:国家公務員法改正

 前記事の郵政改革法案の強行採決と前後しますが、2010年5月12日、衆議院・内閣委員会で国家公務員法改正法案が強行採決され、翌13日に本会議で可決されます。。
この強行採決には、いくつも問題点があるので、紹介します。

 ①小泉進次郎氏の質問が終わらないうちに、田中慶秋委員長が採決を強行した。
 ②野党が採決に抗議するドタバタで三宅雪子議員が倒れた。
 ③国家公務員法は、国籍条項がないなど法案そのものに問題がある。

民主党政権はこの法案をどうしても通したかった。怪しい理由がありそうです。
一つずつ記事にして取り上げます。まずは強行採決について、日経新聞からです。

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公務員法案が衆院通過 終盤国会、霧晴れず 2010/5/14
衆院は13日の本会議で、中央省庁の幹部人事を内閣に一元化する国家公務員法改正案を与党などの賛成多数で可決した。野党は「強行採決だ」として反発を強めており、6月16日の会期末までにすべての重要法案を成立させられるかは不透明な状況だ。民主党小沢一郎幹事長が出席する衆院政治倫理審査会なども、法案審議の行方を左右する。
「与党の強行採決超党派で公務員改革をするチャンスをぶちこわした」。13日の衆院本会議で、自民党小泉進次郎氏は怒りをむき出しにした。
野党側は12日の衆院内閣委員会で、与党が公務員法案を強行採決したとして反発。13日に自民、共産、みんなの党の3党が田中慶秋委員長の解任決議案を提出した。前日の内閣委で自身の質問を遮られ、採決に持ち込まれた小泉氏は本会議で解任決議案の賛成討論に立った。
解任決議案は与党などの反対多数で否決されたが、公明、たちあがれ日本を含めた野党5党は決議案に賛成した。5党は13日に初めての幹事長・書記局長会談を開き、米軍普天間基地の移設問題などで衆院予算委員会の集中審議を求める方針を確認。自民党大島理森幹事長は「今後とも5党で連絡を密にし、共同して行動していこう」と呼びかけた。
与野党の対決ムードが高まるなか、公務員法案の審議見通しは厳しい。参院内閣委は自民党河合常則氏が委員長で野党主導の運営になるのは確実。参院民主党幹部は「じっくり審議して会期末直前に採決に応じてもらう」とのシナリオを描くが、その保証はない。
国家戦略室を「局」に格上げする政治主導確立法案は13日に衆院本会議で趣旨説明をし、審議入りした。同法案の審議の場は大荒れの原因となった公務員法案と同じ内閣委。野党がすんなりと審議に応じるはずもなく、与党国対内では「衆院を通過させても参院で審議未了、廃案になる可能性がある」という悲観論も流れる。
与党は終盤国会で最大の対決法案となる郵政改革法案を、18日に衆院で審議入りさせる方針。今月下旬以降には小沢氏が出席する政倫審も開く方向で、党首討論普天間問題を巡る審議対応を含めて、与野党対決の場がいくつか用意される見通しだ。
小沢氏の弁明が不十分だった場合は、逆に野党に攻撃材料を与える可能性もある。会期末を控えた与党の法案処理は一層、不透明感が増しつつある。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1302Z_T10C10A5PE8000/(日経)

中川秀直氏による内閣委員会の動画です。国会崩壊そのものです。

動画では、途中女性が倒れるところが、少し映っています。それが三宅雪子氏です。その顛末は、次の記事で紹介します。

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小泉氏の質問を田中慶秋委員長がさえぎって無理矢理採決に持っていきます。田中慶秋氏(衆・神奈川5区)といえば、野田第3次改造内閣法務大臣に抜擢も暴力団との関係が暴露され、あっというまに更迭された御仁です。

◇3週間だけの法務大臣、田中慶秋氏 - 民主党政権3年3か月の研究

 国会議事録からです。

2010年5月12日 衆議院・内閣委員会
○田中委員長 お諮りいたします。
 小泉君、時間が大幅に……。
 お諮りしていますので、皆さん、小泉君の質疑はこれにて終結をさせていただきます。(拍手)
○小泉(進)委員 きょうこれは採決をするような法案じゃないですよ。これはまだ、到底採決に応じられるような状況じゃありませんよ、大臣。

○田中委員長 お諮りいたします。
 これにて各……
○小泉(進)委員 委員長、委員長。
 大臣、この法案を通したら、超党派の合意はもうできなくなりますよ。そして、前大臣の甘利大臣も含めて、この前、超党派の合意を得るために頑張ったんですよ。それを、政権交代をしたら超党派の合意は覆すんですか。そんなの全然新しい制度じゃないじゃないですか。
 仙谷大臣、もし、与党の中から私たちの声とは同じ声が一度もなかったらいいですよ。しかし……
○田中委員長 小泉君に申し上げます。
 質疑時間がオーバーしておりますので、これにて質問を打ち切ります。拍手、発言する者あり)
 お諮りいたします。
 この法案に対する質疑は終了、修正案に対する質疑を終局することとし、賛成の諸君の起立を願います。(発言する者あり)
    〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(拍手、発言する者あり)

冷静な小泉氏も怒り心頭に発してしまいました。

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翌日の本会議で田中慶秋委員長の解任決議案を提出します。小泉氏の発言の前半部をご覧下さい。冒頭の暴力行為というのは、次の記事で紹介する三宅雪子議員が倒れた件です。

2010年5月12日 衆議院・本会議
小泉進次郎君(続) もし暴力行為があったとするならば、その暴力行為が一体何であるのかはっきりさせ、もし暴力行為がなかった場合、それを潔く撤回していただきたい。
 冒頭にそう申し上げ、今から賛成の理由を述べます。
 田中委員長、同じ神奈川県選出の大先輩にこのような形で向き合うこと、大変残念でなりません。
 きのうの委員会採決に至るまで、それ以前の田中委員長の委員会運営は、その豊富な経験に基づき、与野党の意見をしんしゃくしながら、公正な運営を行う努力をされていたように思います。
 しかしながら、委員長の今までの努力に対し、私は委員長の解任賛成討論でお返しをせざるを得ません。その責任は、民主党の一方的、強権的な国会運営にあり、それに対する委員長自身の抑止力の欠如であります。
 昨年の総選挙、民主党は四文字で日本政治の新たな一ページを開きました。政権交代。きのうの内閣委員会民主党は別の四文字で超党派による公務員制度改革の可能性をつぶしたんです。その四文字が、強行採決であります。
 都合が悪いことを言われると、お決まりのように飛び出す決まり文句、それは、自民党だってやっただろう。自民党がやったあしき前例は踏襲しない、自民党にはできなかったことをやるのが政権交代の意義なんじゃないですか。それとも、政権についてから、学べば学ぶにつけて、強行採決が必要だと思ったんですか。
 田中委員長、きのうの強行採決、ただの強行採決ではありません。私の質疑を打ち切る動議がないまま、委員長の独断でされた強行採決という、異例の強行採決に結果としてなったんです。委員長のその強行採決という行為の何が問題か、以下に挙げる三点を述べ、それらを委員長の解任決議案に賛成する理由とします。・・・(略)

「都合が悪いことを言われると、お決まりのように飛び出す決まり文句、それは、自民党だってやっただろう。」
自民党がやったあしき前例は踏襲しない、自民党にはできなかったことをやるのが政権交代の意義なんじゃないですか。」

小泉氏の言には、政権交代した民主党に対する怒りともどかしさが込められているようです。片や自民党のやってきたことを全面否定、補正予算にまで手をつけちゃうなど、ちゃぶ台返ししてきたのに、強制採決は、自民党だってやっていたと言い訳。政権担当能力がないことが、とっくに露呈していたのですが、この後2年半近く、無能な政権が続いていくことになります。

なお、この国家公務員法改正は、鳩山総理の退陣のどさくさで廃案になっています。民主党政権の拙い国会運営の一例ですが、もう鳩山内閣はだめだ!と感じた民主党が、何が何でも通したかった法案なのでしょう。思った通り、売国的要素を包含した法案でありました。三宅雪子氏の転倒問題に続いて、国家公務員法改正の危うさについてみていきます。

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